ごるご君 働き方改革 あの世で、IT革命 その3 - にゃん吉一代記
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ごるご君 働き方改革 あの世で、IT革命 その3



この物語は、フィクションである。
全てのものと何らかかわりはない。


これまで

ごるご君 働き方改革 死神のセキュリティチェック

ごるご君 働き方改革 うしろの 太郎

ごるご君 働き方改革 あの世で、IT革命 その1

ごるご君 働き方改革 あの世で、IT革命 その2


はじまりはじまり!



霊柩ホールのプレゼンがはじまった。
主催は、ごるご君。
プレゼンテーターは、仲野さん。
参加者は、セキュリティー責任者 銭形さん。
走馬燈採点係、代表、戸田さん。
優秀ハッカー1、トミー。
優秀ハッカー2、マツ。
以上の6人だ。

まず、ごるご君が概要を説明する。
「今回、集まっていただいたのは、閻魔大王さんと面談するにあたり、その資料、こちらの世界では、「通信簿」と呼ばれているものの作成に関して、時間がかかりすぎるため待合室で待つ人が増えすぎている点を改善するためです。これまでは、現生の人の記憶のみに頼り、今わの際にしか映像を見ることができないため、仕事の時間の平滑化もできません。そこで、あらかじめ、ここに来る前のデータを作成、保有して、通信簿の作成のスピードアップをめざします。また、データベース内の行いに関して、点数化できるものは、あらかじめ点数化をすることで職員の個々の主観による不公平感の是正も図れるのではないかと考えています。このプロジェクトに関して、あらかじめ大筋でのプログラムは考えていますが、改善点も多くあると思います。意見があれば、どんどん言ってください。他にもご協力を仰がなければならない部分も多くありますので、ご協力をお願いします。」
ごるご君にしては、まともで長い挨拶が終わった。
参加している人たちも、真剣に聞いてくれているようだ。

「それでは、仲野さん、お願いします。」

「仲野です。今回のプロジェクトでは、あらゆるものを使って、できるだけ正確なデータベースを作っていきたいと考えています。点数化に関しては、どのような行為が、加点、減点の対象になるのかとか、配点はどの程度かなどがわからない状態で資料を作ってきました。これに関しては、皆様のご協力があれば、正しいものに近づけられると思います。また、不足するデータに関しても、ご協力をお願いしたいと考えています。」

会場の雰囲気は軽くない。
ごるご君の挨拶が固かったからかもしれない。
仲野さんは、元来、まじめな人である。
あまり、フランクな話し方はできない。
ごるご君が、話をついだ。

「ここまでの話で、何か質問はありますか?」
特に口を開く人はいない。

「それでは、データベースの説明に入ります。」
ごるご君は、普通に会議を進めた。

「それでは、お手元のノートパソコンを起動させてください。」
仲野さんは、プロジェクターを起動させた。
ごるご君たちは、先ほどの内にサーバー用パソコンを起動させていた。
各人のノートパソコンとは、Wi-Fiでつながっている。

プロジェクターには、デスクトップの画面が映されている。
「プロジェクターの画面は、皆様のノートパソコンと同じだと思います。ソフトの概要をわかっていただくために、同じように操作をお願いします。質問などあれば、その都度に言ってください。」

「それでは、ご存知の方もおられるとは思いますが、走馬灯映像から通信簿を作る現在の流れを、戸田さん、説明してもらってもいいですか。」
「わかりました。」戸田さんは、かるく頭を下げて説明を始めた。
「下の世から、こちらに来られた方は、まずセキュリティーゲートを通って待合室に入られます。以前は、ここまで来られるためのお迎えに時間がかかったり、危険物を持ち込ませないためのセキュリティーチェックに時間がかかっていましたが、ごるご様、、、あっ、間違えました、ごるご君、様のご尽力で、ドローンを使ったり、セキュリティーゲートでのチェックに変わったために、待合室まで来られる時間は非常に早くなりました。待合室の先では、閻魔大王様との面談があり、そこで、それぞれの人の行き先が決められます。閻魔大王様との面談の前に、死神様が、こちらに来られた方の資料を作って、閻魔大王様に資料をお渡ししています。具体的には、私たち事務のものが今際の際の映像を確認して、通信簿を作成します。通信簿は、10段階で評価点が与えられます。死神様が通信簿を確認して不備がなければ、閻魔大王様に通信簿が渡されるわけです。この通信簿の作成にあたっては、今際の際の走馬灯現象を利用して作成します。最近は高齢の方も多くなり、走馬灯映像の再生にも時間がかかるようになりました。また、働き方改革が叫ばれはじめてからは、あまり残業もできなくなりました。そのような事情で、待合室で待つ方の待ち時間は長くなりました。また、走馬灯映像のみに頼る資料では、閻魔大王様にお渡しする資料の精度も限られてしまいます。つい、見落としてしまう場面もあります。この点は以前から改善が必要かと考えていたところです。」
戸田さんの説明が終わった。
簡潔だが正確で、的を得ている。

「戸田さん、ありがとうございます。」
ごるご君が言った。
「それでは、通信簿作成のためのデータベースと、その使い方を簡単に説明します。プロジェクターを見ながらパソコンで確認してみてください。また、このソフトは、権限を与えられた人であれば、スマートフォンやタブレットでもアクセスすることができます。」
仲野さんが続ける。
「パソコンのデスクトップに、『通信簿』のショートカットを作成してあります。こちらをクリックしてソフトを起動させます。本来は、ここで、3段階認証を利用してアクセスしてきた人を特定します。認証が簡単なほうが楽なのですが、下の世界では認証方式が甘かったために、期待されたプリペイドでの決済の事業が消滅した例もあります。これに関しては金銭的な被害だったのですが、多くのデータベースが保存している個人情報の流出などの問題は、連日のようにあります。認証の方式を厳しくすればノートパソコンを使って仕事をすることも可能となります。自宅での仕事もできるので、労働環境の改善にもつながると思われます。」
「では、ソフトを使ってみましょう。現在は、デモですので間違っても何も起きません。積極的に使ってみてください。」
仲野さんは、使い方の説明を始めた。
「通信簿を作る対象者の特定は、氏名、生年月日、マイナンバー、国民年金基礎番号などを使うのが現実的かと思います。」
「マイナンバーって何ですか?」
銭形さんが聞いた。
「国が、国民一人一人に付与している番号です。制度の開始は、2016年頃でした。12桁の番号になりますが、基本的には一人の人は生涯、同じ番号を与えられることとなります。公的な機関では、この番号を使って個人の特定などをしているため、マイナンバーをデータベースに紐つけることができれば、個人の特定に関しては、かなり精度が上がると思われます。日本に住民票がある人は全員が持っている個々の番号となります。」
ごるご君が説明した。
今回のデータベース作成に関しては、ごるご君も少しは勉強している。
なかなかの熱意だ。

「わかりました。ありがとうございます。」
銭形さんが言った。
考えてみれば、マイナンバー制度は始まったばかりだ。死神などは、1000年ぐらい前から下の世界に来ていないようだ。
お迎えの人の話で、下の世界の繁栄を聞くこともあるようだが、ここは情報の流通が悪い。

「現在のところでは、マイナンバーの収集はできていないため、氏名と生年月日で対象者を特定します。こちらの検索窓に氏名を入れてみてください。」
仲野さんは、プロジェクターを使って説明を進める。
「それでは、仮に『なかたにみき』さんと入力してみましょう。」
説明を聞いている人たちは、同じようにパソコンに入力している。
みんな、慣れた手つきだ。

画面が変わる。

仲谷美紀   1970年11月02日
中谷幹     1993年08月15日
那珂谷美紀 2004年05月30日
    ・
    ・
    ・
さらに続々と候補が出ている。

「こんなに早く、検索できるのか。」
トミーが驚く。
「すごい。」
マツも同じような反応だ。

「デモ画面では、使っている写真も少ないので快適に動くと思います。最終的には、12680万人分のデータを収集する予定なのでサーバーの増強も必要となると思われますが、それは後の課題とします。まず、最初に出てきた『仲谷美紀   1970年11月02日』をクリックしてください。」
画面が変わった。
これまでに収集できている、仲谷美紀さんのデーターが出てきた。
普通に人生を送ってきた人のデータは履歴書のような感じになり、特に目立つところもない。
履歴書の写真のような写真もつけられている。
「右に、FB、ツイッター、ブログ、YOUTUBEなどと出ていますが、これは、本人がSNSのアカウントを持っていたり、ウエブサイトを運営していたりする場合には、その内容を見ることができるようになっています。SNSに関しては、この先も新しいものができると思われるため、随時、追加したいと考えています。」

「SNSって?」
マツが聞いた。
「SNSというのは、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略です。ソーシャル(社会的な)ネットワーキング(繋がり)を提供するサービス、という意味になります。」
ごるご君が答える前に、戸田さんが答えた。
戸田さんは、最近、こちらに来た人だろう。スマホも簡単に使っていた。

「実際に、どういうものか見てもらうのが早いでしょう。ツイッターのところをクリックしてみてください。」仲野さんが言った。
プロジェクターの画面も変わる。
仲谷美紀さんのツイッターの画面が現れた。
「今では、このようにして個人がネット上にいろいろな情報をアップしています。某国の大統領も、このツイッターを活用して世間を騒がせたりしています。人となりを見る上での参考になるかと思い、SNSも確認できるようにしてあります。こちらも配点は低いのですが通信簿の評価に反映されることもあります。」
「ネット上の人は、なりすましなどもあるため、精度を上げて本人を特定する必要もあります。ただ、こちらは民間のデータベースである程度までは確認できるため、マイナンバーの収集に比べれば難しくないと思います。」
仲野さんが説明を続ける。

「それでは、元の画面に戻ってください。こちらの方は、ご存命なのですが、これまでの行動での評価点は、いつでも確認することができます。」
仲野さんは、画面下の評価と書かれたボタンをクリックした。
プロジェクターに総合評価点が映し出される。
93点となっている。かなりいい評価だ。
「こちらは、100を満点として評価を算出するように作っています。今出ている数字は総合評価です。項目ごとの評価は、下のほうに出ていますが、それぞれの項目をクリックすると、詳細が出てきます。」
「これは、すごい。」
トミーも、マツも、銭形さんも感心している。

「いちおう、通信簿ソフトの概要は、こんなところです。ここまでのサンプルは、仲野さんと僕で作ってきましたが、いろいろな行いに対する評価点をどうするか、これをきちんと統一すれば点数の精度も上がると思います。ここに関しては、銭形さんと戸田さんのご協力をお願いしたいと思います。また、地上のデーターベースやウエブへのアクセスについては、地上でやるとまずいので、トミーさんとマツさんにお願いしたいと考えています。」
ごるご君が言った。

「お国のデータベースに侵入か。」
トミーが言った。
「おもしろそうだ。」
マツが言った。

二人とも、やる気を見せている。
なにより、パソコンを常に近くに持って離そうとしない。


「概要はわかっていただけましたか?詳しいことは、明日、話し合いましょう。」
「わかりました。」
全員が頷いた。

「それでは、今夜は死神が宴席を設けてくれているはずなので、みんなで行きましょう。」
ごるご君が言った。

「それでは、死神さまをお呼びしてまいります。」
戸田さんが席を立った。


山積する難題は明日以降に考える。
明日できることを今日することは決してない、ごるご君であった。




続く




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