ごるご君 リターンズ
この物語は、フィクションである。
実在の人物、企業、団体には、何ら関係がない。
某国のスランプ大統領は、憂鬱であった。
いつも、誰がに狙われている気がする。
ここ、最近のことだ、
スランプ大統領は、先日、国賓として、ある国に招かれた。
蚤野心臓・総理大臣は、あたたかく、ごまをすりすりもてなしてくれた。
スランプ大統領は、ピラニア夫人とともに、ゆったりとした時間を送った。
しかし、帰国しようとして、エアフォースワンに乗ろうとした時に、なんともいえない視線を感じた。
「おまえを殺る。」
視線は、そう語りかけていた。
帰国したスランプ大統領は、トミーFBI長官を内密に呼んだ。
「大統領、お呼びでしょうか。」
トミー長官は、尻尾を振りながら、ポワイトハウスに現れた。
「ああ、トミー君。頼みがある。」
「はい、なんでしょうか。」
スランプ大統領は、小さな声で続ける。
「実は、先日、国賓として招かれた某国で、なんともいえないイヤな視線を感じた。あの視線が気になって、毎日が憂鬱だ。これまで感じたことのない視線だった。」
「どうしたのですか大統領?いつもの大統領らしくない。」
スランプ大統領は、気弱そうな目で、トミー長官を見た。
「あの視線は、違う。おかげで僕は、睡眠不足だ。」
「脅迫でもされているのですか?」
「いや、そんなことはない。しかし、金で片がつくような話ではない気がする。」
「屈強なSPが、いつも大統領をお守りしています。もし狙われたとしても必ずお守りできます。」
「それは、わかっているが気になって仕方ない。悪いが、某国で私を狙う人物がいるかどうか調べてほしい。」
トミー長官は、考えた。
まさか、大統領を狙う人物が、いるとは思えない。しかし、ここは大統領に取り入るチャンスだ。少し動いてみよう。
「かしこまりました。必ず私が、大統領を狙う人物をみつけて、逮捕します。」
「トミー君。よろしく頼む。」
スランプ大統領は、トミー長官の手をかたく握った。そしてすがるような目で言った。
トミー長官は、FBIに戻った。
いつもなら、誰かに命令すればいいのだが、この件に関しては他言はしたくない。
トミー長官は、某国に凄腕のスナイパーがいるのかどうか調べることにした。
トミー長官は最近は現場の仕事などしていない。
どうやって調べようかと悩みながら、インターネットで某国のことを、いろいろ検索した。
某国には、タウンページという職業別電話帳があることが、わかった。
トミー長官は、タウンページで『スナイパー』を調べてみた。
「『スナイパー』と登録する人物がいるだろうか?」
トミー長官が半信半疑でタウンページを調べると、『スナイパー』で一名がヒットした。
ごるご君
職業 スナイパー。
迅速に仕事をします。
電話番号 03-****-****。
ゴルゴと言えば、名の知れたスナイパーだ。
電話帳に電話番号を登録しているとは。
これまでもゴルゴは多くの人物を射殺しているという噂だ。
スランプ大統領のおびえは、本物だったのか。
トミー長官は、タウンページに載っている電話番号に電話をしてみることにした。
もし、スランプ大統領を狙っているなら、新たな依頼は受けられないだろう。
架空の依頼を持ちかけて、相手の動向を探ればいいのだ。
トミー長官は、タウンページに載っていた番号に電話をした。
5回ほどの呼び出し音の後に、相手が出た。
「もしもし、ごるご君です。」
「仕事の依頼なのだが。」
トミー長官は、押し殺した声で言った。
「ありがとうございます。迅速丁寧なスナイパーのごるご君です。誰を狙えばいいのでしょうか?」
「一ヶ月以内に、中国のある人物を消してほしい。」
「わかりました、予定を確認してみます。」
ごるご君は、予定表を確認した。
中国に行くには、3日ほどの余裕が必要だろう。
いつもアルバイトしている東急ストアのシフトを確認すると、一ヶ月以内では連休は取れそうにない。
ふたたび受話器を取った、ごるご君は言った。
「申し訳ございません、この先、一ヶ月は予定が詰まっています。その後でしたら、お受けできます。」
「それは、残念だ。今回は見送ることにする。」
トミー長官は、そう言って電話を切った。
ゴルゴは、大統領を狙っている。
トミー長官は、確信した。
トミー長官は、スランプ大統領に電話した。
「大統領、某国のスナイパーは、ゴルゴです。でも安心してください。必ず私が大統領をお守りいたします。」
「トミー君、よろしく頼む。私を守ってくれたら君の将来はバラ色になる。私が約束する。」
トミー長官は、バラ色に包まれた未来を見た。
ごるご君を徹底的にマークしよう。
トミー長官は腹心のマイクロエース次長を呼んだ。
「マイクロエース君、急な頼みで悪いのだが内密で動いてくれ。今から某国に飛んで、ごるご君の行動を逐一報告してほしい。」
マイクロエース次長は、トミー長官の真剣さを感じた。威圧された感じでもあった。
「わかりました。おっしゃるようにさせていただきます。」
すぐに、マイクロエース次長は機上の人となった。
ごるご君の家は、広い空き地に面している。
空地に何台かの自動車が置かれている。
空き地から、道路に出るためには、大家さんの息子夫婦の家のわきを通らなければならない。ごるご君の愛車は、メガクルーザーだ。くだんの空地に駐車してある。ごるご君が、車を買った時には、空地は道路に面していた。しかし、大家さんが息子夫婦のために、大きな家を建ててしまった。ごるご君が、出張から帰った時には家はできあがっていた。そして、空地と道路の間は狭い私道で結ばれることとなっていた。メガクルーザーは、全く通れない。ごるご君が大家さんに相談すると、「ごめん、ごめん、家賃を500円下げるから。」と大家さんは言った。「仕方ないですね。わかりました。」ごるご君は説得された。その日以降、メガクルーザーは空地の中しか走っていない。四畳半の部屋で、1/10スケールのラジコンカーを走らせるより狭い感じだ。
マイクロエース次長は、ごるご君の住所を確認した。
タウンページに掲載されている住所に、ごるご君の住むアパートはあった。
しばらく様子をうかがっていたが、今は留守のようだ。
凄腕のスナイパーの居場所が簡単にわかるはずはない。
マイクロエース次長は、あたりを見回した。
ちょうど北の方角に、ごるご君のアパートと、空地を見下ろせそうな高層のマンションがある。
ごるご君の家の大家さんの孫娘の、れみちゃんは、小学1年生だ。
ごるご君のアパートの前の空地で遊ぶことがある。
れみちゃんは、ディアゴスティーニのロビ君がお気に入りだ。
ところが最近、ロビ君は突然、動かなくなった。
悲しむ、れみちゃんを、見かねた大家さんは、ロビ君をディアゴスティーニに修理に出した。
でも、修理には数ヶ月かかるとのことだ。
れみちゃんは、悲しみにくれていた。
大家さんは、学校から帰ったれみちゃんを元気づけようと、空地で、れみちゃんと遊ぶことにした。
ごるご君が、東急ストアのアルバイトから帰ってくると、れみちゃんと遊んでいる大家さんに会った。
「こんにちは。」ごるご君は元気に挨拶した。
「ああ、ごるご君、こんにちは。」大家さんが挨拶を返した。
「こんにちは。」小さな声で、れみちゃんも、ごるご君に挨拶する。
「れみちゃん、こんにちは。」ごるご君も挨拶した。
翌日も、空地で大家さんと、れみちゃんに会った。
「れみちゃん、おみやげ。」
そう言って、ごるご君は、ポーターのディパックから、もっちりペットを取り出した。
「はい、れみちゃん。」
「ありがとう。」れみちゃんは喜んだ。
「ごるご君、悪いね。」大家さんが言った。
その日は、空地でしばし、くつろいだ。
それ以降、ごるご君がアルバイトを終えて帰る頃には、れみちゃんが空地に来ることが多くなった。
れみちゃんは、ロビ君がいなくなったことを、ごるご君に話した。
ごるご君の調査をしている、マイクロエース次長は、ごるご君のアパートが見渡せる高層ビルに居た。
そこは、マンションであった。
最上階の20階なら、ごるご君のアパートが見える。
入口に「入居者募集」と書かれたポスターがある。
マイクロエース次長は、ポスターに書かれてある電話番号に連絡した。
「20階の部屋は、空いていますか。」
マイクロエース次長は、流暢な日本語で聞いた。
不動産屋さんは、言った。
「はい、3億円になります。」
マイクロエース次長は、言った。
「それ、ください。」
マイクロエース次長は、トミー長官に連絡した。
その日の内に、トミー長官から3億円が振り込まれた。マイクロエース次長は、その金を持って不動産屋さんに行った。
野菜を買うようにマンションの一室を、マイクロエース次長は買った。翌日から、ごるご君のアパートの監視をはじめた。
ごるご君は、旗を買った。
白い旗を2本、赤い旗を2本。
れみちゃんが好きな、ロビ君は旗振りゲームができたそうだ。
これがあれば、れみちゃんを喜ばせることができるかもしれない。
東急ストアのアルバイトを終えた、ごるご君はアパートに帰った。
学校から帰った、れみちゃんは、空地に居た。
今日は大家さんは用事があるそうで、空地にはいなかった。
たまたま、マイクロエース次長が、高層ビルの一室から、ごるご君の監視を始めた日だった。
「れみちゃん、旗を買ってきたよ。」
れみちゃんは、喜んだ。
「ごるご君、旗振りゲームやろう。」
「いいよ。」ごるご君は、快諾した。
「赤上げて、白上げて、赤下げないで白下げて!」
れみちゃんが言った。
ごるご君は、れみちゃんの言うように旗を操った。
高層マンションから、ごるご君を監視している、マイクロエース長官は空地を見ていた。
帰ってきた、ごるご君が旗を振る姿を見て、何か予感がして録画をはじめた。
ごるご君は、れみちゃんが言う通りに旗を操った。
「赤下げて、白下げないで、赤上げて。」
れみちゃんの要求はきびしい。
ごるご君は、一生懸命に旗を振った。
高層マンションの一室で、マイクロエース次長は、旗の意味を考えた。
「これは、手旗信号だ。」
マイクロエース次長は、録画したビデオを見直した。
手旗信号の、あんちょこと、ごるご君の旗の動きを照らし合わせてみた。
どうやら、カナの信号のようだ。
「ノミノ・シュショウ・ニュウキンハ、カクニンシタ。イッカゲツイナイニ、スランプハ、ケス。」
ごるご君の手旗信号は、こう言っている。
さらに続けて。
「テキガ、オレヲ、ミテイル。レンラクハ、ココマデダ。」
マイクロエース次長は、驚いた。
こちらの動きは、すでに察知されている。
ごるご君は、評判以上に手ごわい敵だ。
このままでは、スランプ大統領も危険にさらされるかもしれない。
マイクロエース次長は、すぐにトミー長官に連絡した。
「長官、ごるご君は、すでにわれわれの動きを察知しています。」
トミー長官は言う。
「マイクロエース君、黒幕は、判明したのか?」
「それは、蚤野心臓のようです。ごるご君が連絡した相手です。」
「マイクロエース君、写真やビデオを送ってくれ。」
マイクロエース次長は、全てのファイルをSDカードにコピーした。
インターネットを介して送ると、内容がわかってしまうかもしれない。
トミー長官に相談すると、某国の基地に連絡を入れておくので、
そこで渡してほしいと言う。
マイクロエース次長は、SDカードを持って、電車で某国の基地に向かった。
ごるご君のアパートを監視するビデオカメラは、当然、回したままだ。
SDカードを基地の兵士に渡したマイクロエース次長は、マンションに帰った。
ビデオのSDカードを交換して、その日は眠りについた。
マイクロエース次長から届いた資料を持って、トミー長官は、ポワイトハウスに向かった。
「スランプ大統領、敵の正体がわかりました。」
パソコンの画面を見る、スランプ大統領の目が険しくなる。
「なんとかならないか、トミー君。」
大統領が重い口を開いた。
「ゴルゴは、金で動くスナイパーです。こちらが高額な条件を提示すれば、のってくるかもしれません。」
後で、連絡してみます。
FBIに戻ったトミー長官は、タウンページを確認して、ごるご君に電話をかけた。
「もしもし、ごるご君です。」
「仕事の依頼をしたい。」
トミー長官は、言った。
「はい、どのような仕事でしょうか。」
「ノミノシンゾウを殺ってほしい。」
トミー長官は、はっきりと言った。
すでに、こちらの動きは、ごるごに察知されているかもしれない。
「ノミではなく、ノミの心臓ですか?」
「そうだ、ノミノシンゾウだ。」
「どこのノミの心臓でしょうか?」
「とぼける必要は無い。君の近くに居るノミノシンゾウだ。報酬は、10 million USD だ。」
「本当に、近くの蚤の心臓を殺ればいいのですね。」
「そうだ、なるべく早く殺ってほしい。報酬は、前金で半分を君の口座に振り込む。」
「ご依頼の方の、お名前と連絡先を教えてください。」
「トミーだ。電話は、**-****-****だ。君が狙っている人物の側近のものだ。ノミノシンゾウを消せば、君の依頼者は、いなくなる。その後は、私の国にでも来ればいい。優遇するよ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
ごるご君は、相手の言わんとすることが、わからなかったが適当に話を合わせた。
「それでは、口座番号を聞こうか。」
ごるご君は、楽天銀行の口座を教えた。
「それでは、できるだけ速やかに、ノミノシンゾウを殺ってくれ。」
「わかりました。明日の午前中は、別の仕事が入っているので、午後からやります。何匹やればいいのですか?」
「君は、おもしろいことを言う。ノミノシンゾウは、1匹に決まっているだろう。」
「わかりました。じっくりやります。」
トミー長官は、スランプ大統領に連絡した。
「大統領、多少の費用はかかりましたが、ゴルゴを懐柔できました。安心してください。これで、ゴルゴが大統領を狙うことはありません。」
「ありがとう、トミー君。これで、ぐっすり眠れそうだ。君の将来は私が保証する。」
ごるご君のもとには、5million USD の入金の連絡が入った。
トミー長官からの入金だ。日本円にすると、約5億円。
マイクロエース長官は、ごるご君の監視を続けている。
トミー長官からの連絡で、帰国の準備はしているが、まだ何か動きがあるかもしれない。
次の日。
ごるご君は、東急ストアのアルバイトを終えてから、秋葉原に向かった。
ヨドバシカメラでルーペと、ドギーマン ハニースマイル 電動吸引ノミキャッチャーと、マタタビを買った。
ネコ缶は、アルバイト先の東急ストアで買ってあった。
マイクロエース次長は、いつもより帰宅の遅いごるご君を監視していた。
2時間ほど遅く帰った、ごるご君は、すぐに広場に出てきた。
近所のネコを呼んでいる。
猫→蚤→蚤の心臓
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実在の人物、企業、団体には、何ら関係がない。
某国のスランプ大統領は、憂鬱であった。
いつも、誰がに狙われている気がする。
ここ、最近のことだ、
スランプ大統領は、先日、国賓として、ある国に招かれた。
蚤野心臓・総理大臣は、あたたかく、ごまをすりすりもてなしてくれた。
スランプ大統領は、ピラニア夫人とともに、ゆったりとした時間を送った。
しかし、帰国しようとして、エアフォースワンに乗ろうとした時に、なんともいえない視線を感じた。
「おまえを殺る。」
視線は、そう語りかけていた。
帰国したスランプ大統領は、トミーFBI長官を内密に呼んだ。
「大統領、お呼びでしょうか。」
トミー長官は、尻尾を振りながら、ポワイトハウスに現れた。
「ああ、トミー君。頼みがある。」
「はい、なんでしょうか。」
スランプ大統領は、小さな声で続ける。
「実は、先日、国賓として招かれた某国で、なんともいえないイヤな視線を感じた。あの視線が気になって、毎日が憂鬱だ。これまで感じたことのない視線だった。」
「どうしたのですか大統領?いつもの大統領らしくない。」
スランプ大統領は、気弱そうな目で、トミー長官を見た。
「あの視線は、違う。おかげで僕は、睡眠不足だ。」
「脅迫でもされているのですか?」
「いや、そんなことはない。しかし、金で片がつくような話ではない気がする。」
「屈強なSPが、いつも大統領をお守りしています。もし狙われたとしても必ずお守りできます。」
「それは、わかっているが気になって仕方ない。悪いが、某国で私を狙う人物がいるかどうか調べてほしい。」
トミー長官は、考えた。
まさか、大統領を狙う人物が、いるとは思えない。しかし、ここは大統領に取り入るチャンスだ。少し動いてみよう。
「かしこまりました。必ず私が、大統領を狙う人物をみつけて、逮捕します。」
「トミー君。よろしく頼む。」
スランプ大統領は、トミー長官の手をかたく握った。そしてすがるような目で言った。
トミー長官は、FBIに戻った。
いつもなら、誰かに命令すればいいのだが、この件に関しては他言はしたくない。
トミー長官は、某国に凄腕のスナイパーがいるのかどうか調べることにした。
トミー長官は最近は現場の仕事などしていない。
どうやって調べようかと悩みながら、インターネットで某国のことを、いろいろ検索した。
某国には、タウンページという職業別電話帳があることが、わかった。
トミー長官は、タウンページで『スナイパー』を調べてみた。
「『スナイパー』と登録する人物がいるだろうか?」
トミー長官が半信半疑でタウンページを調べると、『スナイパー』で一名がヒットした。
ごるご君
職業 スナイパー。
迅速に仕事をします。
電話番号 03-****-****。
ゴルゴと言えば、名の知れたスナイパーだ。
電話帳に電話番号を登録しているとは。
これまでもゴルゴは多くの人物を射殺しているという噂だ。
スランプ大統領のおびえは、本物だったのか。
トミー長官は、タウンページに載っている電話番号に電話をしてみることにした。
もし、スランプ大統領を狙っているなら、新たな依頼は受けられないだろう。
架空の依頼を持ちかけて、相手の動向を探ればいいのだ。
トミー長官は、タウンページに載っていた番号に電話をした。
5回ほどの呼び出し音の後に、相手が出た。
「もしもし、ごるご君です。」
「仕事の依頼なのだが。」
トミー長官は、押し殺した声で言った。
「ありがとうございます。迅速丁寧なスナイパーのごるご君です。誰を狙えばいいのでしょうか?」
「一ヶ月以内に、中国のある人物を消してほしい。」
「わかりました、予定を確認してみます。」
ごるご君は、予定表を確認した。
中国に行くには、3日ほどの余裕が必要だろう。
いつもアルバイトしている東急ストアのシフトを確認すると、一ヶ月以内では連休は取れそうにない。
ふたたび受話器を取った、ごるご君は言った。
「申し訳ございません、この先、一ヶ月は予定が詰まっています。その後でしたら、お受けできます。」
「それは、残念だ。今回は見送ることにする。」
トミー長官は、そう言って電話を切った。
ゴルゴは、大統領を狙っている。
トミー長官は、確信した。
トミー長官は、スランプ大統領に電話した。
「大統領、某国のスナイパーは、ゴルゴです。でも安心してください。必ず私が大統領をお守りいたします。」
「トミー君、よろしく頼む。私を守ってくれたら君の将来はバラ色になる。私が約束する。」
トミー長官は、バラ色に包まれた未来を見た。
ごるご君を徹底的にマークしよう。
トミー長官は腹心のマイクロエース次長を呼んだ。
「マイクロエース君、急な頼みで悪いのだが内密で動いてくれ。今から某国に飛んで、ごるご君の行動を逐一報告してほしい。」
マイクロエース次長は、トミー長官の真剣さを感じた。威圧された感じでもあった。
「わかりました。おっしゃるようにさせていただきます。」
すぐに、マイクロエース次長は機上の人となった。
ごるご君の家は、広い空き地に面している。
空地に何台かの自動車が置かれている。
空き地から、道路に出るためには、大家さんの息子夫婦の家のわきを通らなければならない。ごるご君の愛車は、メガクルーザーだ。くだんの空地に駐車してある。ごるご君が、車を買った時には、空地は道路に面していた。しかし、大家さんが息子夫婦のために、大きな家を建ててしまった。ごるご君が、出張から帰った時には家はできあがっていた。そして、空地と道路の間は狭い私道で結ばれることとなっていた。メガクルーザーは、全く通れない。ごるご君が大家さんに相談すると、「ごめん、ごめん、家賃を500円下げるから。」と大家さんは言った。「仕方ないですね。わかりました。」ごるご君は説得された。その日以降、メガクルーザーは空地の中しか走っていない。四畳半の部屋で、1/10スケールのラジコンカーを走らせるより狭い感じだ。
マイクロエース次長は、ごるご君の住所を確認した。
タウンページに掲載されている住所に、ごるご君の住むアパートはあった。
しばらく様子をうかがっていたが、今は留守のようだ。
凄腕のスナイパーの居場所が簡単にわかるはずはない。
マイクロエース次長は、あたりを見回した。
ちょうど北の方角に、ごるご君のアパートと、空地を見下ろせそうな高層のマンションがある。
ごるご君の家の大家さんの孫娘の、れみちゃんは、小学1年生だ。
ごるご君のアパートの前の空地で遊ぶことがある。
れみちゃんは、ディアゴスティーニのロビ君がお気に入りだ。
ところが最近、ロビ君は突然、動かなくなった。
悲しむ、れみちゃんを、見かねた大家さんは、ロビ君をディアゴスティーニに修理に出した。
でも、修理には数ヶ月かかるとのことだ。
れみちゃんは、悲しみにくれていた。
大家さんは、学校から帰ったれみちゃんを元気づけようと、空地で、れみちゃんと遊ぶことにした。
ごるご君が、東急ストアのアルバイトから帰ってくると、れみちゃんと遊んでいる大家さんに会った。
「こんにちは。」ごるご君は元気に挨拶した。
「ああ、ごるご君、こんにちは。」大家さんが挨拶を返した。
「こんにちは。」小さな声で、れみちゃんも、ごるご君に挨拶する。
「れみちゃん、こんにちは。」ごるご君も挨拶した。
翌日も、空地で大家さんと、れみちゃんに会った。
「れみちゃん、おみやげ。」
そう言って、ごるご君は、ポーターのディパックから、もっちりペットを取り出した。
「はい、れみちゃん。」
「ありがとう。」れみちゃんは喜んだ。
「ごるご君、悪いね。」大家さんが言った。
その日は、空地でしばし、くつろいだ。
それ以降、ごるご君がアルバイトを終えて帰る頃には、れみちゃんが空地に来ることが多くなった。
れみちゃんは、ロビ君がいなくなったことを、ごるご君に話した。
ごるご君の調査をしている、マイクロエース次長は、ごるご君のアパートが見渡せる高層ビルに居た。
そこは、マンションであった。
最上階の20階なら、ごるご君のアパートが見える。
入口に「入居者募集」と書かれたポスターがある。
マイクロエース次長は、ポスターに書かれてある電話番号に連絡した。
「20階の部屋は、空いていますか。」
マイクロエース次長は、流暢な日本語で聞いた。
不動産屋さんは、言った。
「はい、3億円になります。」
マイクロエース次長は、言った。
「それ、ください。」
マイクロエース次長は、トミー長官に連絡した。
その日の内に、トミー長官から3億円が振り込まれた。マイクロエース次長は、その金を持って不動産屋さんに行った。
野菜を買うようにマンションの一室を、マイクロエース次長は買った。翌日から、ごるご君のアパートの監視をはじめた。
ごるご君は、旗を買った。
白い旗を2本、赤い旗を2本。
れみちゃんが好きな、ロビ君は旗振りゲームができたそうだ。
これがあれば、れみちゃんを喜ばせることができるかもしれない。
東急ストアのアルバイトを終えた、ごるご君はアパートに帰った。
学校から帰った、れみちゃんは、空地に居た。
今日は大家さんは用事があるそうで、空地にはいなかった。
たまたま、マイクロエース次長が、高層ビルの一室から、ごるご君の監視を始めた日だった。
「れみちゃん、旗を買ってきたよ。」
れみちゃんは、喜んだ。
「ごるご君、旗振りゲームやろう。」
「いいよ。」ごるご君は、快諾した。
「赤上げて、白上げて、赤下げないで白下げて!」
れみちゃんが言った。
ごるご君は、れみちゃんの言うように旗を操った。
高層マンションから、ごるご君を監視している、マイクロエース長官は空地を見ていた。
帰ってきた、ごるご君が旗を振る姿を見て、何か予感がして録画をはじめた。
ごるご君は、れみちゃんが言う通りに旗を操った。
「赤下げて、白下げないで、赤上げて。」
れみちゃんの要求はきびしい。
ごるご君は、一生懸命に旗を振った。
高層マンションの一室で、マイクロエース次長は、旗の意味を考えた。
「これは、手旗信号だ。」
マイクロエース次長は、録画したビデオを見直した。
手旗信号の、あんちょこと、ごるご君の旗の動きを照らし合わせてみた。
どうやら、カナの信号のようだ。
「ノミノ・シュショウ・ニュウキンハ、カクニンシタ。イッカゲツイナイニ、スランプハ、ケス。」
ごるご君の手旗信号は、こう言っている。
さらに続けて。
「テキガ、オレヲ、ミテイル。レンラクハ、ココマデダ。」
マイクロエース次長は、驚いた。
こちらの動きは、すでに察知されている。
ごるご君は、評判以上に手ごわい敵だ。
このままでは、スランプ大統領も危険にさらされるかもしれない。
マイクロエース次長は、すぐにトミー長官に連絡した。
「長官、ごるご君は、すでにわれわれの動きを察知しています。」
トミー長官は言う。
「マイクロエース君、黒幕は、判明したのか?」
「それは、蚤野心臓のようです。ごるご君が連絡した相手です。」
「マイクロエース君、写真やビデオを送ってくれ。」
マイクロエース次長は、全てのファイルをSDカードにコピーした。
インターネットを介して送ると、内容がわかってしまうかもしれない。
トミー長官に相談すると、某国の基地に連絡を入れておくので、
そこで渡してほしいと言う。
マイクロエース次長は、SDカードを持って、電車で某国の基地に向かった。
ごるご君のアパートを監視するビデオカメラは、当然、回したままだ。
SDカードを基地の兵士に渡したマイクロエース次長は、マンションに帰った。
ビデオのSDカードを交換して、その日は眠りについた。
マイクロエース次長から届いた資料を持って、トミー長官は、ポワイトハウスに向かった。
「スランプ大統領、敵の正体がわかりました。」
パソコンの画面を見る、スランプ大統領の目が険しくなる。
「なんとかならないか、トミー君。」
大統領が重い口を開いた。
「ゴルゴは、金で動くスナイパーです。こちらが高額な条件を提示すれば、のってくるかもしれません。」
後で、連絡してみます。
FBIに戻ったトミー長官は、タウンページを確認して、ごるご君に電話をかけた。
「もしもし、ごるご君です。」
「仕事の依頼をしたい。」
トミー長官は、言った。
「はい、どのような仕事でしょうか。」
「ノミノシンゾウを殺ってほしい。」
トミー長官は、はっきりと言った。
すでに、こちらの動きは、ごるごに察知されているかもしれない。
「ノミではなく、ノミの心臓ですか?」
「そうだ、ノミノシンゾウだ。」
「どこのノミの心臓でしょうか?」
「とぼける必要は無い。君の近くに居るノミノシンゾウだ。報酬は、10 million USD だ。」
「本当に、近くの蚤の心臓を殺ればいいのですね。」
「そうだ、なるべく早く殺ってほしい。報酬は、前金で半分を君の口座に振り込む。」
「ご依頼の方の、お名前と連絡先を教えてください。」
「トミーだ。電話は、**-****-****だ。君が狙っている人物の側近のものだ。ノミノシンゾウを消せば、君の依頼者は、いなくなる。その後は、私の国にでも来ればいい。優遇するよ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
ごるご君は、相手の言わんとすることが、わからなかったが適当に話を合わせた。
「それでは、口座番号を聞こうか。」
ごるご君は、楽天銀行の口座を教えた。
「それでは、できるだけ速やかに、ノミノシンゾウを殺ってくれ。」
「わかりました。明日の午前中は、別の仕事が入っているので、午後からやります。何匹やればいいのですか?」
「君は、おもしろいことを言う。ノミノシンゾウは、1匹に決まっているだろう。」
「わかりました。じっくりやります。」
トミー長官は、スランプ大統領に連絡した。
「大統領、多少の費用はかかりましたが、ゴルゴを懐柔できました。安心してください。これで、ゴルゴが大統領を狙うことはありません。」
「ありがとう、トミー君。これで、ぐっすり眠れそうだ。君の将来は私が保証する。」
ごるご君のもとには、5million USD の入金の連絡が入った。
トミー長官からの入金だ。日本円にすると、約5億円。
マイクロエース長官は、ごるご君の監視を続けている。
トミー長官からの連絡で、帰国の準備はしているが、まだ何か動きがあるかもしれない。
次の日。
ごるご君は、東急ストアのアルバイトを終えてから、秋葉原に向かった。
ヨドバシカメラでルーペと、ドギーマン ハニースマイル 電動吸引ノミキャッチャーと、マタタビを買った。
ネコ缶は、アルバイト先の東急ストアで買ってあった。
マイクロエース次長は、いつもより帰宅の遅いごるご君を監視していた。
2時間ほど遅く帰った、ごるご君は、すぐに広場に出てきた。
近所のネコを呼んでいる。
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