ごるご君 リターンズ - にゃん吉一代記
fc2ブログ

ごるご君 リターンズ



この物語は、フィクションである。
実在の人物、企業、団体には、何ら関係がない。




某国のスランプ大統領は、憂鬱であった。
いつも、誰がに狙われている気がする。
ここ、最近のことだ、
スランプ大統領は、先日、国賓として、ある国に招かれた。
蚤野心臓・総理大臣は、あたたかく、ごまをすりすりもてなしてくれた。
スランプ大統領は、ピラニア夫人とともに、ゆったりとした時間を送った。
しかし、帰国しようとして、エアフォースワンに乗ろうとした時に、なんともいえない視線を感じた。
「おまえを殺る。」
視線は、そう語りかけていた。


帰国したスランプ大統領は、トミーFBI長官を内密に呼んだ。
「大統領、お呼びでしょうか。」
トミー長官は、尻尾を振りながら、ポワイトハウスに現れた。

「ああ、トミー君。頼みがある。」

「はい、なんでしょうか。」


スランプ大統領は、小さな声で続ける。

「実は、先日、国賓として招かれた某国で、なんともいえないイヤな視線を感じた。あの視線が気になって、毎日が憂鬱だ。これまで感じたことのない視線だった。」

「どうしたのですか大統領?いつもの大統領らしくない。」

スランプ大統領は、気弱そうな目で、トミー長官を見た。

「あの視線は、違う。おかげで僕は、睡眠不足だ。」

「脅迫でもされているのですか?」

「いや、そんなことはない。しかし、金で片がつくような話ではない気がする。」

「屈強なSPが、いつも大統領をお守りしています。もし狙われたとしても必ずお守りできます。」

「それは、わかっているが気になって仕方ない。悪いが、某国で私を狙う人物がいるかどうか調べてほしい。」


トミー長官は、考えた。
まさか、大統領を狙う人物が、いるとは思えない。しかし、ここは大統領に取り入るチャンスだ。少し動いてみよう。

「かしこまりました。必ず私が、大統領を狙う人物をみつけて、逮捕します。」

「トミー君。よろしく頼む。」

スランプ大統領は、トミー長官の手をかたく握った。そしてすがるような目で言った。




トミー長官は、FBIに戻った。
いつもなら、誰かに命令すればいいのだが、この件に関しては他言はしたくない。
トミー長官は、某国に凄腕のスナイパーがいるのかどうか調べることにした。

トミー長官は最近は現場の仕事などしていない。
どうやって調べようかと悩みながら、インターネットで某国のことを、いろいろ検索した。
某国には、タウンページという職業別電話帳があることが、わかった。
トミー長官は、タウンページで『スナイパー』を調べてみた。
「『スナイパー』と登録する人物がいるだろうか?」
トミー長官が半信半疑でタウンページを調べると、『スナイパー』で一名がヒットした。

ごるご君
職業 スナイパー。
迅速に仕事をします。
電話番号 03-****-****。

ゴルゴと言えば、名の知れたスナイパーだ。
電話帳に電話番号を登録しているとは。
これまでもゴルゴは多くの人物を射殺しているという噂だ。
スランプ大統領のおびえは、本物だったのか。

トミー長官は、タウンページに載っている電話番号に電話をしてみることにした。
もし、スランプ大統領を狙っているなら、新たな依頼は受けられないだろう。
架空の依頼を持ちかけて、相手の動向を探ればいいのだ。

トミー長官は、タウンページに載っていた番号に電話をした。
5回ほどの呼び出し音の後に、相手が出た。

「もしもし、ごるご君です。」
「仕事の依頼なのだが。」
トミー長官は、押し殺した声で言った。

「ありがとうございます。迅速丁寧なスナイパーのごるご君です。誰を狙えばいいのでしょうか?」

「一ヶ月以内に、中国のある人物を消してほしい。」

「わかりました、予定を確認してみます。」

ごるご君は、予定表を確認した。
中国に行くには、3日ほどの余裕が必要だろう。
いつもアルバイトしている東急ストアのシフトを確認すると、一ヶ月以内では連休は取れそうにない。

ふたたび受話器を取った、ごるご君は言った。
「申し訳ございません、この先、一ヶ月は予定が詰まっています。その後でしたら、お受けできます。」

「それは、残念だ。今回は見送ることにする。」

トミー長官は、そう言って電話を切った。

ゴルゴは、大統領を狙っている。

トミー長官は、確信した。



トミー長官は、スランプ大統領に電話した。

「大統領、某国のスナイパーは、ゴルゴです。でも安心してください。必ず私が大統領をお守りいたします。」

「トミー君、よろしく頼む。私を守ってくれたら君の将来はバラ色になる。私が約束する。」

トミー長官は、バラ色に包まれた未来を見た。
ごるご君を徹底的にマークしよう。

トミー長官は腹心のマイクロエース次長を呼んだ。
「マイクロエース君、急な頼みで悪いのだが内密で動いてくれ。今から某国に飛んで、ごるご君の行動を逐一報告してほしい。」

マイクロエース次長は、トミー長官の真剣さを感じた。威圧された感じでもあった。
「わかりました。おっしゃるようにさせていただきます。」

すぐに、マイクロエース次長は機上の人となった。


ごるご君の家は、広い空き地に面している。
空地に何台かの自動車が置かれている。
空き地から、道路に出るためには、大家さんの息子夫婦の家のわきを通らなければならない。ごるご君の愛車は、メガクルーザーだ。くだんの空地に駐車してある。ごるご君が、車を買った時には、空地は道路に面していた。しかし、大家さんが息子夫婦のために、大きな家を建ててしまった。ごるご君が、出張から帰った時には家はできあがっていた。そして、空地と道路の間は狭い私道で結ばれることとなっていた。メガクルーザーは、全く通れない。ごるご君が大家さんに相談すると、「ごめん、ごめん、家賃を500円下げるから。」と大家さんは言った。「仕方ないですね。わかりました。」ごるご君は説得された。その日以降、メガクルーザーは空地の中しか走っていない。四畳半の部屋で、1/10スケールのラジコンカーを走らせるより狭い感じだ。


マイクロエース次長は、ごるご君の住所を確認した。
タウンページに掲載されている住所に、ごるご君の住むアパートはあった。
しばらく様子をうかがっていたが、今は留守のようだ。
凄腕のスナイパーの居場所が簡単にわかるはずはない。
マイクロエース次長は、あたりを見回した。
ちょうど北の方角に、ごるご君のアパートと、空地を見下ろせそうな高層のマンションがある。

ごるご君の家の大家さんの孫娘の、れみちゃんは、小学1年生だ。
ごるご君のアパートの前の空地で遊ぶことがある。
れみちゃんは、ディアゴスティーニのロビ君がお気に入りだ。
ところが最近、ロビ君は突然、動かなくなった。
悲しむ、れみちゃんを、見かねた大家さんは、ロビ君をディアゴスティーニに修理に出した。
でも、修理には数ヶ月かかるとのことだ。
れみちゃんは、悲しみにくれていた。

大家さんは、学校から帰ったれみちゃんを元気づけようと、空地で、れみちゃんと遊ぶことにした。
ごるご君が、東急ストアのアルバイトから帰ってくると、れみちゃんと遊んでいる大家さんに会った。
「こんにちは。」ごるご君は元気に挨拶した。
「ああ、ごるご君、こんにちは。」大家さんが挨拶を返した。
「こんにちは。」小さな声で、れみちゃんも、ごるご君に挨拶する。
「れみちゃん、こんにちは。」ごるご君も挨拶した。


翌日も、空地で大家さんと、れみちゃんに会った。
「れみちゃん、おみやげ。」
そう言って、ごるご君は、ポーターのディパックから、もっちりペットを取り出した。
「はい、れみちゃん。」
「ありがとう。」れみちゃんは喜んだ。
「ごるご君、悪いね。」大家さんが言った。
その日は、空地でしばし、くつろいだ。


それ以降、ごるご君がアルバイトを終えて帰る頃には、れみちゃんが空地に来ることが多くなった。
れみちゃんは、ロビ君がいなくなったことを、ごるご君に話した。




ごるご君の調査をしている、マイクロエース次長は、ごるご君のアパートが見渡せる高層ビルに居た。
そこは、マンションであった。
最上階の20階なら、ごるご君のアパートが見える。
入口に「入居者募集」と書かれたポスターがある。
マイクロエース次長は、ポスターに書かれてある電話番号に連絡した。
「20階の部屋は、空いていますか。」
マイクロエース次長は、流暢な日本語で聞いた。
不動産屋さんは、言った。
「はい、3億円になります。」
マイクロエース次長は、言った。
「それ、ください。」
マイクロエース次長は、トミー長官に連絡した。
その日の内に、トミー長官から3億円が振り込まれた。マイクロエース次長は、その金を持って不動産屋さんに行った。
野菜を買うようにマンションの一室を、マイクロエース次長は買った。翌日から、ごるご君のアパートの監視をはじめた。




ごるご君は、旗を買った。
白い旗を2本、赤い旗を2本。
れみちゃんが好きな、ロビ君は旗振りゲームができたそうだ。
これがあれば、れみちゃんを喜ばせることができるかもしれない。

東急ストアのアルバイトを終えた、ごるご君はアパートに帰った。
学校から帰った、れみちゃんは、空地に居た。
今日は大家さんは用事があるそうで、空地にはいなかった。
たまたま、マイクロエース次長が、高層ビルの一室から、ごるご君の監視を始めた日だった。


「れみちゃん、旗を買ってきたよ。」
れみちゃんは、喜んだ。
「ごるご君、旗振りゲームやろう。」

「いいよ。」ごるご君は、快諾した。



「赤上げて、白上げて、赤下げないで白下げて!」
れみちゃんが言った。
ごるご君は、れみちゃんの言うように旗を操った。



高層マンションから、ごるご君を監視している、マイクロエース長官は空地を見ていた。
帰ってきた、ごるご君が旗を振る姿を見て、何か予感がして録画をはじめた。


ごるご君は、れみちゃんが言う通りに旗を操った。
「赤下げて、白下げないで、赤上げて。」
れみちゃんの要求はきびしい。
ごるご君は、一生懸命に旗を振った。


高層マンションの一室で、マイクロエース次長は、旗の意味を考えた。
「これは、手旗信号だ。」
マイクロエース次長は、録画したビデオを見直した。
手旗信号の、あんちょこと、ごるご君の旗の動きを照らし合わせてみた。


どうやら、カナの信号のようだ。
「ノミノ・シュショウ・ニュウキンハ、カクニンシタ。イッカゲツイナイニ、スランプハ、ケス。」
ごるご君の手旗信号は、こう言っている。
さらに続けて。
「テキガ、オレヲ、ミテイル。レンラクハ、ココマデダ。」

マイクロエース次長は、驚いた。
こちらの動きは、すでに察知されている。
ごるご君は、評判以上に手ごわい敵だ。
このままでは、スランプ大統領も危険にさらされるかもしれない。

マイクロエース次長は、すぐにトミー長官に連絡した。
「長官、ごるご君は、すでにわれわれの動きを察知しています。」

トミー長官は言う。
「マイクロエース君、黒幕は、判明したのか?」

「それは、蚤野心臓のようです。ごるご君が連絡した相手です。」

「マイクロエース君、写真やビデオを送ってくれ。」

マイクロエース次長は、全てのファイルをSDカードにコピーした。
インターネットを介して送ると、内容がわかってしまうかもしれない。
トミー長官に相談すると、某国の基地に連絡を入れておくので、
そこで渡してほしいと言う。
マイクロエース次長は、SDカードを持って、電車で某国の基地に向かった。
ごるご君のアパートを監視するビデオカメラは、当然、回したままだ。


SDカードを基地の兵士に渡したマイクロエース次長は、マンションに帰った。
ビデオのSDカードを交換して、その日は眠りについた。



マイクロエース次長から届いた資料を持って、トミー長官は、ポワイトハウスに向かった。
「スランプ大統領、敵の正体がわかりました。」

パソコンの画面を見る、スランプ大統領の目が険しくなる。


「なんとかならないか、トミー君。」
大統領が重い口を開いた。

「ゴルゴは、金で動くスナイパーです。こちらが高額な条件を提示すれば、のってくるかもしれません。」
後で、連絡してみます。


FBIに戻ったトミー長官は、タウンページを確認して、ごるご君に電話をかけた。

「もしもし、ごるご君です。」
「仕事の依頼をしたい。」
トミー長官は、言った。
「はい、どのような仕事でしょうか。」

「ノミノシンゾウを殺ってほしい。」
トミー長官は、はっきりと言った。
すでに、こちらの動きは、ごるごに察知されているかもしれない。


「ノミではなく、ノミの心臓ですか?」
「そうだ、ノミノシンゾウだ。」

「どこのノミの心臓でしょうか?」
「とぼける必要は無い。君の近くに居るノミノシンゾウだ。報酬は、10 million USD だ。」

「本当に、近くの蚤の心臓を殺ればいいのですね。」
「そうだ、なるべく早く殺ってほしい。報酬は、前金で半分を君の口座に振り込む。」

「ご依頼の方の、お名前と連絡先を教えてください。」
「トミーだ。電話は、**-****-****だ。君が狙っている人物の側近のものだ。ノミノシンゾウを消せば、君の依頼者は、いなくなる。その後は、私の国にでも来ればいい。優遇するよ。」

「はぁ、ありがとうございます。」
ごるご君は、相手の言わんとすることが、わからなかったが適当に話を合わせた。

「それでは、口座番号を聞こうか。」

ごるご君は、楽天銀行の口座を教えた。

「それでは、できるだけ速やかに、ノミノシンゾウを殺ってくれ。」
「わかりました。明日の午前中は、別の仕事が入っているので、午後からやります。何匹やればいいのですか?」

「君は、おもしろいことを言う。ノミノシンゾウは、1匹に決まっているだろう。」

「わかりました。じっくりやります。」


トミー長官は、スランプ大統領に連絡した。
「大統領、多少の費用はかかりましたが、ゴルゴを懐柔できました。安心してください。これで、ゴルゴが大統領を狙うことはありません。」

「ありがとう、トミー君。これで、ぐっすり眠れそうだ。君の将来は私が保証する。」



ごるご君のもとには、5million USD の入金の連絡が入った。
トミー長官からの入金だ。日本円にすると、約5億円。


マイクロエース長官は、ごるご君の監視を続けている。
トミー長官からの連絡で、帰国の準備はしているが、まだ何か動きがあるかもしれない。

次の日。
ごるご君は、東急ストアのアルバイトを終えてから、秋葉原に向かった。
ヨドバシカメラでルーペと、ドギーマン ハニースマイル 電動吸引ノミキャッチャーと、マタタビを買った。
ネコ缶は、アルバイト先の東急ストアで買ってあった。


マイクロエース次長は、いつもより帰宅の遅いごるご君を監視していた。
2時間ほど遅く帰った、ごるご君は、すぐに広場に出てきた。

近所のネコを呼んでいる。




猫→蚤→蚤の心臓



ミッション・コンプリート






関連記事


YOUTUBE チャンネル登録お願いします。


PR



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

新しい記事
眠いのは、いつものこと Sep 28, 2023
 サーフェスが寿命を迎えたようだ。 Sep 27, 2023
周波数の違いはいらない Sep 27, 2023
ジムニーJB23にピポットガードをつけてみた Sep 26, 2023
畳の色がそこだけ若いわ Sep 25, 2023
国定忠治のお墓 Sep 24, 2023
C11 265 がいた。 Sep 24, 2023
ジムニー JB23にトランスファーガードを取り付けた Sep 24, 2023
ジムニー JB23のガソリンタンクガードを取り付けした Aug 16, 2023
死人になったハチの話 Apr 22, 2023
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
ブログ
100位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
32位
アクセスランキングを見る>>
鉄道模型
カテゴリ
月別アーカイブ
プロフィール

天乃にゃん吉

Author:天乃にゃん吉
ついに半世紀を生きた♂と思ってから、すでに5年以上。
YOUTUBE cat558 もよろしく!
まだまだ、更新!

最新コメント