女衒物語 - にゃん吉一代記
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女衒物語



冬の日の朝だ。
気温が低い。
時折、吹く風は体温を奪っていく。

街角の交差点。
この時間に通行する人は、ほとんどいない。
喧騒な街にも忘れ去られたような一角がある。
そんな所だ。

その交差点の角の少し広くなったあたり。
車や人が普通は通らない所に3人の人影。
3歳ぐらいの女の子と、20代後半ぐらいの女性。
二人は母娘だろう。女の子は、女性と手をつないでいる。
近くに立つのは、50代後半と思われる男性だ。
年齢のわりには、細身で立派ないでたちであるが、どこか影を感じさせる。
時間が気になるのか腕のロレックスを何度か見ている。
金色の光がまぶしい。

時計をのぞいた後、男は女性にめくばせをした。
女性は覚悟したように小さく頷いたように見えた。
女性の目には、大きな覚悟が宿っているように見えた。

男は、おもむろにセカンドバッグを開いて、中から分厚い封筒を取り出した。
もし、中身が10,000円札であったなら、200万円はあるだろう。
もっと多いかもしれない。
その封筒をぞんざいに、女性に渡した。

女性は、封筒を押し頂くように受け取った。
そして、ちらりと中を確認したように見えた。
そして、ハンドバッグを開いて、封筒を入れた。

次の瞬間。
女性はしゃがんで、女の子を強く抱きしめる。
女性の背中には、すまなさと切なさがにじみ出ている。
女の子は、びっくりしたような表情を浮かべている。

ほんの短い時間だった。
女性と女の子にとっては、もっと短い時間に感じたのではないだろうか。
男は、何か女性に声をかけた。

意を決したように女性はゆっくりと立ち上がった。
ほんとうに、ゆっくりと。

そして、女性は男に一礼した。
そして、女性は女の子の手を引いて、交差点を左に向かって歩き始めた。

男は、二人を見送った後、右に向かってゆっくりと歩き始めた。





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テーマ : 奇妙な物語
ジャンル : 小説・文学

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