ごるご君 メールを受け取る - にゃん吉一代記
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ごるご君 メールを受け取る



この物語は、フィクションです。
実在の人物、団体、企業、詐欺集団とはなんら関わりがございません。

ごるご君は、西急ストアの鮮魚売り場でアルバイトをしている。
アルバイト先の上司は三軒茶屋チーフだ。笑わない厳しい人だ。
三軒茶屋チーフの口癖は、「私たちの仕事は魚を売ることです。」だ。
ある日、入荷した鯖の具合がよくなかった。
明らかに、鯖が死んだような目をしている。
しかし、三軒茶屋チーフは言った。
「魚に罪はない。」
その鯖は、通常より1%値下げして売られた。

アルバイトの帰り道、ごるご君のスマホにメールが入った。
久しぶりに、スナイパーの仕事が舞いこんできたのか。
ごるご君は、期待してスマホを見た。

「訴訟最終告知」とタイトルに書かれてある。
差出人は、総合管理窓口となっている。
なんだろう、ごるご君は内容を確認した。
なんでも、アダルトサイトの利用料金の未払いがあり、このまま放置すると訴訟すると書かれてある。
しかし、ごるご君はアダルトサイトなど見たことがない。
スマホは、電話とメールしか利用しないのだ。
さらに言えば、メールは受け取ることしかできない。
実は、メールの使い方を知らない。

「たいへんだ。これは、間違いメールだろう。訴訟する前に、だれかに親切に送った人がいるのに、僕に届いてしまった。」
ごるご君は、メールの文面を詳しく見た。
連絡先の電話番号が書かれていた。
「そうだ、間違って届いたことを教えてあげよう。」
ごるご君は、アパートに帰って、メールに書かれた番号に電話した。

相手は、なかなか出ない。
時間は、夜10時だ。
しかし、呼び出しの音は鳴っている。
何十回かのコールの後で、「後でおかけなおしください。」のアナウンスの後で、電話が切れる。
「後でとは?1分後のことだろうか?それとも1時間後のことだろうか?」ごるご君は悩んだ。
しかし、メールには早く連絡がなければ訴訟を起こすとも書かれていた。
このメールが、受け取るべき人に、きちんと届いていれば、訴訟という争いが、ひとつ減っていたかもしれない。
「こうしてはいられない。」
ごるご君は、間をおかずに電話をかけ続けた。
せめて留守番電話にでもなれば、メッセージを残すのだが。
何十回めかのコールの後で、不機嫌そうな男が電話に出た。
「総合管理窓口です。」
「もしもし、僕は、ごるご君です。身に覚えのないメールが届いたので電話しました。」
「債務者の方ですね。弊社の営業時間は、朝の9時から夕方6時までですので、かけなおしてください。」
「いえ、そうではなくて、このメールは間違いなので連絡しました。」

少し間があいて、面倒そうに男が言った。
「それでは、折り返し担当のものから連絡させますので、住所、お名前、連絡先を教えてください。」
わかりました。
ごるご君は、住所と氏名とスマホの番号を伝えた。
「郵便番号とか、部屋の番号も言ったほうがいいですか?」
「それも、お願いします。」男は不機嫌そうな声で言う。
「わかりました。」
ごるご君は、郵便番号を伝えた。
「それでは、電話を切ってお待ちください。」

数分後、ごるご君は、ふと思い出した。
時刻はすでに、夜の11時を過ぎている。
「そういえば、今月から住所の表示方法が変わっていた。そうだ郵便番号も変わったのだった。」
「これは、まずい。そうか、住所の表記が変わったから間違って僕のところにメールが届いてしまったのだろう。」
ごるご君は、いそいで先ほどの電話番号に連絡した。
また、すぐには出ない。

また何度かのコールの後で、眠そうで不機嫌そうな声の男が電話に出た。
「総合管理窓口です。」
「もしもし。僕は、ごるご君です。先ほど電話したものですが。」
「はい。債務者の方ですか?」
男の声は、先ほどと同じだが、ごるご君を忘れてしまったのだろうか?
「きっと、多くの人からの電話を受けて疲れているのだろう。」
ごるご君は、相手に同情の念を覚えた。しかし、伝えることは伝えなければならない。
「僕は、債務者ではなく間違えてメールを受け取った、ごるご君です。」
男は思い出したようだ。
「ごるご様ですね、その件でしたら、担当者にお伝えしました。折り返し連絡が入りますので、しばらくお待ちください。」
男は、少し面倒そうに言った。
「その件ではなくて、実は先ほど申し上げた住所と郵便番号ですが、今月から住居表示変更で変わっていました。それをお伝えしなければならないので連絡しました。」
「そうですか。」かなり眠そうな声で男が言った。
「新しい住所と郵便番号を言います。メモの準備はいいですか?」
「少々、お待ちください。」男は、メモの準備をしているようだ。
数秒後に男が言った。
「それでは、住所と郵便番号を教えてください。」
ごるご君は、新しい住所を伝えた。
向こうの電話口で他の人の声が聞こえた。
「何時だと思ってるの、眠れないじゃない。」ヒステリックな女の声のようだった。
男はあわてたように、「ありがとうございます。担当のものには間違えなく伝えておきます。」と言った。
「よろしく、お願いします。あと、何かあった時には、どなたに連絡すればいいでしょうか?」念のため、ごるご君は尋ねた。
「私は、山下です。とりあえず私に連絡をください。」男は早く電話を切りたそうだ。
「山下さんですね、ありがとうございます。僕は、ごるご君です。」
そう言って、ごるご君は電話を切った。

10分後、まだ担当の人から電話はかかってこない。
「そうだ、今日もアルバイトがある。電話がかかってきた時に出られなかったら相手の人も迷惑する。」
ごるご君は、まずいと思った。
早朝からのアルバイトの間に電話がかかってくれば、他の人の訴訟騒ぎとなるかもしれない。
「そうだ、担当の人の名前と連絡先を聞いて、僕から連絡することにしよう。」

ごるご君は、再び総合管理窓口に電話した。
今回も、なかなか電話に出ない。忙しいのだろうか?
何度ものコールの後、電話が切れるが、ごるご君は何度もダイヤルを回した。
すでに日付は変わっている。
早く寝ないと、アルバイトに差し支えるかもしれないが、訴訟されるような事件に比べると、そんなことは重要ではない。
どのくらい時間がたったかわからないが、やっと男が電話に出た。
「総合管理窓口です。」男の声は、いくぶん怒気を含んでいるようだ。しかし、ごるご君には間違えを伝える義務がある。
「もしもし、先ほど電話した、ごるご君です。」
「はぁ。」なにか、あきれるような口調で男は受け答える。
「それで、何の用でしょうか。ごるご様のご住所の件に関しては、すでに担当者にお伝えしておりますが。」
「実は、僕は今日もアルバイトに行かなければなりません。その時に担当の人から電話がかかってくると、また用件を話せなくなってしまうので、担当者の方の名前とご連絡先をうかがいたいと思って連絡しました。」
男は、いくぶんあわてたように言った。
「朝になれば、担当者から連絡させます。」
ごるご君は、アルバイトのシフトを確認した。朝の6時から夕方4時まではアルバイトだ。
アルバイト中に電話は取れない。三軒茶屋チーフは厳しいのだ。
「でも、アルバイト中は電話は取れません。僕は早く間違いを伝えたいのです。」
「申し訳ございませんが、担当者の連絡先は申し上げられません。」
「なぜですか?」
少し間をおいて、男は面倒そうな声で言った。
「それは、個人情報だからです。」
「そうですか。」
ごるご君のあきらめたような声を聞いて、ほっとしたような声で男が言った。
「そういうことですので、明日までお待ちください。」
男は、電話を切った。

ごるご君は、メールの本文を全て書き写していた。
このような大切なメールが消えてしまうと大変なことになると思ったからだ。
男の声を聞きながら、メールの本文を確認した、ごるご君は大変なことに気づいた。
メールに書かれた訴訟を取り下げる期限というのは、本日の午前11時と書かれている。
このままでは、ごるご君がアルバイトをしている間に誰かが訴訟を起こされてしまう。
これは大変だ。
「そうだ、どこの裁判所に訴訟を起こすのか聞いてみよう。そして、このメールが間違って僕のスマホに届いたことを裁判所の人に伝えればいいかもしれない。」
時間は、すでに午前2時だ。
アルバイト開始時間は近づいてくる。しかし、訴訟取り下げの期限も近づいている。

再び、ごるご君は、総合管理窓口に電話をかけた。
呼び出し音は鳴っているのに、なかなか電話に出ない。
「困った。」刻々と時は進む。
「僕がここであきらめると訴訟を起こされてしまう人が出る。」
ごるご君は、何度も何度も、総合管理窓口に電話をかけ続けた。

電話をかけ始めて、約1時間。
やっと男が電話に出た。
「総合管理窓口です。」
「もしもし、僕はごるご君です。」
「また、あなたですか。」あきれたような声で男が言った。
「実は、訴訟取り下げの期限までに御社の担当者様とお話ができないと困るので、どこの裁判所に訴訟を起こすのか教えてください。」
やや間をおいて男が答えた。
「もう、訴訟は起こしません。訴訟は起こしませんので寝させてください。」
「いや、僕の訴訟ではなくて、他の人の訴訟です。たいへんなことになる前に、僕は裁判所に行かなければなりません。」
「だから、訴訟は起こさないと言っているでしょう。」男の声は怒っているようだ。
「なぜ、怒っているのですか?」ごるご君は聞いてみた。
「怒ってなんか、いません。」
男は、がちゃんと電話を切った。

「たいへんだ。さっきの電話の男の様子では、訴訟を取り下げることはしないだろう。」
なぜ男の機嫌が悪くなったのかわからない。しかし、ここは謝っておいたほうがよさそうだ。
ごるご君は争いは好まない。

時刻は、すでに午前4時が近い。
ごるご君は、また総合管理窓口に電話をかけた。
次は、数度のコールで男が出た。
「総合管理窓口です。」
山下と名乗った男の声だ。
「もしもし、僕はごるご君です。先ほどは申し訳ございません。何か山下様のお気にさわることがありましたか。」
ごるご君が言うと、山下は言った。
「そのことだったら、けっこうです。私は怒っていません。」
「それでは、訴訟取り下げの件は、どうなりますか?」
「その件でしたら、もう訴訟は起こさないことにしましたから。」
「でも、未払いの料金が多くなってしまうと、山下さんの会社に大きな損害が出るのではないでしょうか?」
ごるご君は、山下の会社が心配になった。
「そんなことはありません。もう訴訟も起こさないし、怒ってもいないので連絡してこないでください。」
さっきより雰囲気が悪い。ごるご君は心配になった。
メールの文面を見ると、この通告を無視すると、家族にも取立てをするようなことが書かれている。ほんとうはメールが届くはずだった人が訴えられて、その人の家族まで怖い思いや、いやな思いをするのではないだろうか。山下は訴訟を起こさないと言っているが担当者は別の人だと言っていた。山下は訴訟を起こさなくても別の人が訴訟を起こすかもしれない。

「あの。」
ごるご君が話しかけた時に、電話はすでに切れていた。

ごるご君は、再び総合管理窓口に電話をした。
「総合管理窓口です。」
また、山下の声だ。
「先ほどは申し訳ございません。ごるご君です。」
「もう、訴訟は起こしません。何の用ですか?」
あきれたような声で山下が言う。
「山下さんの会社におわびに行きたいので住所を教えてください。」
「そんなことは、必要ありません。」
「でも、それでは僕の気がすみません。」

「もう、連絡してくるな!」
男は、豹変して言った。

やっぱり怒っている。
ごるご君は、また総合管理窓口に電話をかける。

「もしもし。」
なんか、怒ったような声だ。
ごるご君は、気おされて電話を切ってしまった。

「山下さんは、なぜ怒っているのだろう。しかし、誠意を持って話せばわかってくれるはずだ。」

気を取り直して、総合管理窓口へ電話をかけようとしたら、スマホのバッテリーがなくなっていた。

そうだ、別のスマホで連絡しよう。
こんな時のために、準備のいい、ごるご君はスマホを98台持っている。
スナイパーの仕事をする時のために、スマホに変声装置もつけている。
名探偵コナンの蝶ネクタイ型変声機を見て、作ったものだ。

相手の怒りを静めるためには、やわらかい声のほうがいいかもしれない。
変声機の声を、若い女性にセットした。
新しいスマホを手にとって、ごるご君は総合管理窓口に電話をかけた。
「総合管理窓口です。」また、山下の声だ。
「もしもし、私は、ごる子です。メールが来たので連絡しました。」
「それでは、担当者から連絡させますので、お名前と連絡先を教えてください。」
ごるご君は、今かけている携帯の番号を伝えた。
住所は、別荘の住所を伝えた。かつて、鼻毛カッターとおそれられた、カルロスごるご君は、いろいろな所に別荘を持ってる。
「それでは、ごる子さん、折り返しの連絡をお待ちください。」
そう言って、電話は切られた。

すぐに電話がかかってきた。
「総合管理窓口です。あなたのスマホから使われた料金が未払いになっている件で連絡しました。今日の11時までに料金をお支払いいただかないと、訴訟を起こすことになります。」
山下は訴訟を起こさないと言っていたのに、やはり訴訟を起こそうとしている。
「やはり、あの言葉は真実ではなかった。」ごるご君は悲しくなった。
相手は、あれこれと説明している。
「それで、私はどうすればいいのですか?」
ごるご君があきらめて尋ねると、「アマゾンのギフト券を20,000円分買って写真を撮って送ってください。」と言う。どこに送ればいいのか聞くと、メールのアドレスを伝えてきた。しかし、ごるご君はメールの使い方がわからない。
「私、メールの使い方がわかりませんの。ほっほ。」ごるご君が言うと相手は、「それでは、レターパックに2万円入れて送ってください。」と言う。
「でも、それでは今日中に届きませんよ。私が持って行きますので住所を教えてください。」
相手は困ったように言った。
「現金の納付は裁判所は受け付けておりません。」
なぜ裁判所が出てきたのかわからないが、裁判所に行けば間違って届いたメールのことも説明できる。ちょうどいい。
「それでは、裁判所に行って確認するので、どこの裁判所か教えてください。」
さらに相手は困ったようにした。
「少々お待ちください。」
そう言って、待たされた。
「もしもし、上司の山下です。」
あれ、さっきの人は山下さんではなかったのだろうか。そういえば今回は名前は聞いていなかった。
しかし、それより訴訟を取り下げてもらうことが急務だ。
「お世話になります。山下さんも、お忙しいことね。ほっほほほっ。」ごるご君が言った。
「あなたの利用料金の滞納額は、50万円を超えています。裁判になると訴訟費用も上乗せされて、ごる子様に請求させていただくことになります。」
「それは、たいへんね、ほっほほ。」ごるご君は答えた。
「訴訟を取り下げるためには、ゆうパックで現金を送ってもらうしかありません。」
「裁判所に送るのですか?」
「いえ、私どもの弁護士宛に送ってもらって、弁護士が訴訟を取り下げます。」
なんか、言っていることが、ころころ変わる。
しかし、訴訟はまずい。
「わかりました。それでは送り先の住所を教えてください。ほほほほ。」
「それでは、ゆうパックの封筒を買ってから、再度、連絡してください。」
「わかりました。」
ごるご君は、アパートの隣のコンビニでゆうパックの封筒を買った。
総合管理窓口に電話をかける。
「総合管理窓口です。」
ごるご君がごるご君として電話した時の山下の声だ。
ごるご君は、ごる子の声で言った。
「上司の山下さんを、お願いします。ほっほ。」

しばし、間があって、「上司の山下です。」と相手は言った。
「私は、ごる子です。ゆうパックの封筒を買ってきましたわよ。ほっほっほ。」
「ありがとうございます。それでは封筒に書かれている番号を教えてください。」
「番号は、○○△△○×○ですわ。ほほほほ。」
「それでは、雑誌に20,000円をはさんで、ゆうパックに入れて今から言う住所に送ってください。」
上司の山下は、住所を言った。
「ゆうパックには、中身は書籍と書いてください。また個人情報ですので、このことは誰にも言わないでください。」
「わかりましたわ。ほほほ。」
「いつ、投函していただけますか?」上司の山下が聞く。
「今から、投函しますわ。ほほほほ。」
「それでは、よろしくお願いします。」

さて、そろそろアルバイトに行こう。
ごるご君は、ゆうパックを持って出かけようとした。
ふと、考えると送り先の住所は、すぐ近くだ。
西急ストアまでの通り道だし。
「なんだ。すぐ近くじゃん。」

ゆうパックの中身は、送られてきたメールの本文と、受信した時間、メールアドレス、そして総合管理窓口とのやり取りをおさめたSDカードを入れた。そして便箋に「間違ってメールが届きました。」と書いて入れた。当然、現金は入れていない。

アルバイトに向かう途中で、ごるご君はゆうパックを交番の前に落としてしまった。





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