金正男は生きている 7
※この物語はフィクションです。実在の人物、国家、団体、企業等には何ら関係はございません。
金正男は生きている
金正男は生きている 2
金正男は生きている 3
金正男は生きている 4
金正男は生きている 5
金正男は生きている 6
金正男(きんまさお)は、話し始めた。
内容は、ごるご君が思っていた以上に深刻だった。
ごるご君が、これまでに扱ってきた案件とは違う。
自分の身を守ることなら自信はあるが、他人の身を守れる自身はない。
「やはり、このお話は他の方にしておくれやす。」
ごるご君は少し緊張している。
英語に京都弁が混じっている。
「ごるご君、この依頼が、あなたのところに舞い込んだのは、なぜかわかる?」
澄子が口を開いた。
そういえば、スナイパーなら世界をまたにかける、ゴルゴ13という人も有名だ。駆け出しのごるご君を日本から呼ぶより早いだろう。
要人警護は、SPの仕事だ。SPといえば、松方弘樹さんもシネマでやっていた。警護などしたことのない、ごるご君に依頼する理由がわからない。
「わからないです。」ごるご君は澄子に言った。
「金さんは、奈々さんと日本に行きたいのでしょう?」
澄子が、いたずらな笑顔を奈々と金に向けた。
「日本は平和な国だけど、テロリストが個人を狙うには、狙いやすい国だからね。」
そんな、ものなのか。ごるご君は、澄子の洞察に感心した。
「それでは、日本に滞在している間のあなたを守ればいいのですか?」
ごるご君は尋ねた。
「ええ、そうしていただければ。」金が答える。
「でも、金さんは日本に入国できるかしら。15年ぐらい前にも入国に失敗しているでしょう。」
澄子が言う。
「なぜ、それを...。」
金は驚いている。
「有名なお話よ。このお屋敷でお目にかかって、確信したわ。」
「お恥ずかしい。」金が言った。
「普通のルートで金さんを日本に入れることのほうが難しいわね。」
澄子は考え込んだ。
ごるご君は、話の展開についていくのがやっとだ。
金は澄子をすがるような目で見ている。
奈々は、先ほどから視線を落としたままだ。
澄子は、目の前の料理を、ぱくっと食べたりワインを飲んだりしながら考え込んでいるようだ。
三人は、ほとんど食も進まない。
ごるご君は喉がかわいたら、ワインで喉をしめらす。
「そうよ!」
突然、澄子が声をあげた。
三人は、澄子の口元を見た。
「金さん。あなたは今の状態では日本に入れない。でも、死んでしまえば、どこにだって行けるわ。」
三人は、澄子の言葉の意味がわからない。
「いくら日本の税関が優秀でも、死んだ人が空港に現れるとは考えないわよ。」
澄子が言った。
「それは、どういう意味ですか?」
奈々が不安そうに口を開いた。
その質問には答えずに、澄子は、続ける。
「金さん、最近、狙われていると感じたのは、どこでですか?」
「マレーシアでは、いつも、つけられている気がしました。」
「ちょうどいいかもしれないわね。」
澄子は言った。
そして、考え込む。時々、目の前の料理を口に運ぶ。
「空港は、クアラルンプール、中国、日本軍...」
澄子は、日本語で何事かをつぶやいている。
「やっぱり、空港がいいわ。金さん、今日から1ヶ月間、ダイエットしましょう。」
澄子が言った。
「どういう、ことですか?」金は、ただ唖然としながら聞いた。
「金さんは、クアラルンプールの空港で暗殺される。もちろん、本人じゃない。死亡説が流れたところで、どこかの国を経由して奈々さんと日本に入国する。死亡したって騒がれている人が目の前に現れると思う人はいない。パスポートをうまく作れば入国は難しくなくなる。」
「でも、空港で暗殺される人は?」
金が不安そうに聞く。
「いいの、いいの。死ななくても。いったん死亡したことになってくれれば大丈夫。その上、命を狙う人が発覚すれば、しばらくは大騒ぎになるはずよ。本当は生きていたとも言えないから、遺体の引渡しでも国同士の面子が邪魔するだろうし、狙われたのが別の人だったとも言い出しにくい。うまくいけば、謎の多い事件のままで数ヶ月騒がれて、その後は忘れられるかも。」
「そんなにうまくいくでしょうか?」
金も奈々も不安そうだ。
「そうね、私とごるご君が、マレーシアに行って、どんな人が金さんを狙っているか調べてくるわ。だいたい相手の素性はわかるけど。相手の居所でもわかったら、事件の直後に居所をリークしたら、蜂の巣をつついたような騒ぎになると思うわよ。」
「ここは、しばらくは安全でしょう。具体的な話は、私とごるご君がマレーシアから帰ってからにしましょう。」
不安そうな、金と奈々をよそに、澄子は料理を平らげはじめた。
「それでは、今夜じゃこのへんで。私とごるご君は明日はマレーシアにたちます。一週間以内には帰ってこれると思うので、ここで待っていてください。」
「わかりました。おまかせします。」
金の言葉を聞いて、澄子は席を立った。
ごるご君も席を立つ。
奈々が、あわてて二人を部屋に案内した。
以下、次号
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金正男(きんまさお)は、話し始めた。
内容は、ごるご君が思っていた以上に深刻だった。
ごるご君が、これまでに扱ってきた案件とは違う。
自分の身を守ることなら自信はあるが、他人の身を守れる自身はない。
「やはり、このお話は他の方にしておくれやす。」
ごるご君は少し緊張している。
英語に京都弁が混じっている。
「ごるご君、この依頼が、あなたのところに舞い込んだのは、なぜかわかる?」
澄子が口を開いた。
そういえば、スナイパーなら世界をまたにかける、ゴルゴ13という人も有名だ。駆け出しのごるご君を日本から呼ぶより早いだろう。
要人警護は、SPの仕事だ。SPといえば、松方弘樹さんもシネマでやっていた。警護などしたことのない、ごるご君に依頼する理由がわからない。
「わからないです。」ごるご君は澄子に言った。
「金さんは、奈々さんと日本に行きたいのでしょう?」
澄子が、いたずらな笑顔を奈々と金に向けた。
「日本は平和な国だけど、テロリストが個人を狙うには、狙いやすい国だからね。」
そんな、ものなのか。ごるご君は、澄子の洞察に感心した。
「それでは、日本に滞在している間のあなたを守ればいいのですか?」
ごるご君は尋ねた。
「ええ、そうしていただければ。」金が答える。
「でも、金さんは日本に入国できるかしら。15年ぐらい前にも入国に失敗しているでしょう。」
澄子が言う。
「なぜ、それを...。」
金は驚いている。
「有名なお話よ。このお屋敷でお目にかかって、確信したわ。」
「お恥ずかしい。」金が言った。
「普通のルートで金さんを日本に入れることのほうが難しいわね。」
澄子は考え込んだ。
ごるご君は、話の展開についていくのがやっとだ。
金は澄子をすがるような目で見ている。
奈々は、先ほどから視線を落としたままだ。
澄子は、目の前の料理を、ぱくっと食べたりワインを飲んだりしながら考え込んでいるようだ。
三人は、ほとんど食も進まない。
ごるご君は喉がかわいたら、ワインで喉をしめらす。
「そうよ!」
突然、澄子が声をあげた。
三人は、澄子の口元を見た。
「金さん。あなたは今の状態では日本に入れない。でも、死んでしまえば、どこにだって行けるわ。」
三人は、澄子の言葉の意味がわからない。
「いくら日本の税関が優秀でも、死んだ人が空港に現れるとは考えないわよ。」
澄子が言った。
「それは、どういう意味ですか?」
奈々が不安そうに口を開いた。
その質問には答えずに、澄子は、続ける。
「金さん、最近、狙われていると感じたのは、どこでですか?」
「マレーシアでは、いつも、つけられている気がしました。」
「ちょうどいいかもしれないわね。」
澄子は言った。
そして、考え込む。時々、目の前の料理を口に運ぶ。
「空港は、クアラルンプール、中国、日本軍...」
澄子は、日本語で何事かをつぶやいている。
「やっぱり、空港がいいわ。金さん、今日から1ヶ月間、ダイエットしましょう。」
澄子が言った。
「どういう、ことですか?」金は、ただ唖然としながら聞いた。
「金さんは、クアラルンプールの空港で暗殺される。もちろん、本人じゃない。死亡説が流れたところで、どこかの国を経由して奈々さんと日本に入国する。死亡したって騒がれている人が目の前に現れると思う人はいない。パスポートをうまく作れば入国は難しくなくなる。」
「でも、空港で暗殺される人は?」
金が不安そうに聞く。
「いいの、いいの。死ななくても。いったん死亡したことになってくれれば大丈夫。その上、命を狙う人が発覚すれば、しばらくは大騒ぎになるはずよ。本当は生きていたとも言えないから、遺体の引渡しでも国同士の面子が邪魔するだろうし、狙われたのが別の人だったとも言い出しにくい。うまくいけば、謎の多い事件のままで数ヶ月騒がれて、その後は忘れられるかも。」
「そんなにうまくいくでしょうか?」
金も奈々も不安そうだ。
「そうね、私とごるご君が、マレーシアに行って、どんな人が金さんを狙っているか調べてくるわ。だいたい相手の素性はわかるけど。相手の居所でもわかったら、事件の直後に居所をリークしたら、蜂の巣をつついたような騒ぎになると思うわよ。」
「ここは、しばらくは安全でしょう。具体的な話は、私とごるご君がマレーシアから帰ってからにしましょう。」
不安そうな、金と奈々をよそに、澄子は料理を平らげはじめた。
「それでは、今夜じゃこのへんで。私とごるご君は明日はマレーシアにたちます。一週間以内には帰ってこれると思うので、ここで待っていてください。」
「わかりました。おまかせします。」
金の言葉を聞いて、澄子は席を立った。
ごるご君も席を立つ。
奈々が、あわてて二人を部屋に案内した。
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