労働時間 - にゃん吉一代記
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労働時間



 ここ最近、企業での働き方のありかた、特に超過勤務の時間に関して問題視されている。企業においては残業時間を削減させようと躍起になっているわけだが、根本的な解決には至らない。これは至極当たり前のことだ。なぜなら根本の問題に目を向けようとしていないからだ。企業の経営に関わる人には、どこが問題であるかは、わかっているはずだ。しかし、企業の中で、その解決の方法を簡単に口に出すことは難しいだろう。なぜなら、解決の方法は、そのままであれば企業の利潤を少なくすることになるからだ。
 昭和から平成にかけて多くの企業は顧客に対するサービスを提供する時間を長くしてきた。ごく一部の地域を除けば夜は夜だったのだ。深夜も営業している店舗といえばコンビニが最も代表的なところだろう。セブン-イレブン・ジャパン、 ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス、デイリーヤマザキ、ポプラ、ミニストップ、ココストア、スリーエフ、セイコーマート、国内での主要なコンビニだ。この主要10社のコンビニの店舗数だが、1985年(昭和60年)には全社合わせて、7,500店舗弱だったのだ。それが、2010年(平成22年)には、43,300店舗以上となっている。つまり、5.5倍以上の店舗数となっている。企業としては利潤を上げなければならないから店舗数を増加させようとしなければならないのは、わかる。コンビニの店舗数は、この先、微増か横ばいとなるだろう。通常の労働者の勤務時間を1日あたり8時間と考えた時に、コンビニが24時間営業だとすれば、各時間に二人の人員を配置するとすれば、1日24時間あたり3交代で成り立つことになる。休日なしで考えても1店舗あたり6人で1日の経営が成り立つことになる。これが7,500店舗の場合は、1日あたり45,000人が勤務することになるのだが、43,300店舗だと1日当たり、259,800人が働かなければならなくなる。コンビニに関しては年中無休でオープンしていることが多い。年間365日営業するとすれば、必要な延べの従業員の人数は、1985年は、7,500×6×365=16,425,000人。2010年の場合は、43,300×6×365=94,827,000人となる。これは休日も何も考えず店舗を1日運営するために必要な人数をはじき出しただけだ。実際には配送や本部の人員も働くので、ここで試算した倍以上の人数が運営のためには必要になってくるだろう。
 コンビニを例に上げたがサービス業の多くは、同じようなこととなっている。ファミレスやファーストフードも営業時間を長くし続けた。最近は効率の悪さもあり営業時間を短縮している店舗もあるが、これは外的要因によるものもあるようだ。24時間営業の店舗は、365日無休で営業していることが多い。サービス業に限らず、このような働き方が当たり前になれば労働力の確保はだんだん困難なこととなる。
 便利さは、どのほとんどを金銭と引き換えで得ることができる。福祉というものは過剰な便利さを与えてくれるものではない。また、そのようなものではないほうが普通だろう。最近は商品の購入も通販などで購入することが多くなってきた。インターネットなどで商品を注文すれば早ければ当日中や翌日に商品が自宅まで届く。ネット上でも、「今から何時間以内に注文すれば、翌日中にお届け。」といった言葉が並んでいる。これは、本当に便利だ。しかし、実際に、そんなに急いで必要なものは、どの程度あるだろうか。本当に急いでいるなら店まで買いに行くほうが早い。マヨネーズがなくなったとなれば、近くにコンビニに行けば売っている。通販で購入するものは、マヨネーズを買うほど急ぐ必要のないものであることが多い。通販で商品を購入する時に、お急ぎの配達は有料になったり、日時指定の配達は有料となり、他は送料無料といったものも多い。実際のところ、特にお急ぎにしなくとも、2~3日もあれば届くものが多いのも事実だ。だから有料のサービスは特に必要がないと考えるのは、よくある話だと思う。ただ、受け取ることが可能な日や時間帯というものは人によって、まちまちである。例えば火曜日に商品を注文したとする。水曜か木曜に商品は自宅まで到着するのだが、昼間は会社に行ってて受け取ることができない。最初から土曜か日曜の配達指定にすれば商品を確実に受け取ることができるが日時指定には送料がかかるような場合が多い。この場合だったら多くの人は不在票を確認した後で土曜なり日曜なりの配達を指定するだろう。そうなると、運送屋さんは、無駄に2回以上の訪問をする必要が出てくる。荷物を持って戸口まで行き、不在票を入れて引き返す。そして、指定日に、再度配達するといった具合だ。2回でおさまればいいが、さらに回数を重ねることもあるだろう。荷物が多い日や天気の悪い日は、いやにもなるだろう。この再配達というのも消費者にとっては便利な制度だが、貴重な労働力を無駄にしていることには違いない。無駄足というものがなければ運賃は今のままであったとしても運送屋さんは、もっと潤うだろう。再三の再配達が無駄にしているのは貴重な労働力ばかりではない。紙代、手間代、燃料費など個々は小さな金額ではあっても、日本全国で年間に無駄になる費用は膨大なものとなるはずだ。
 現在の労働時間の問題は、便利さを求めること、それに対して無理をしても答えようとする企業の姿勢によるものも大きいだろう。昔は地方に行くと、ガソリンスタンドも日曜日は休業だったりした。ただし当番制なのかどうだったのかはわからないが、地域の中で1店舗か2店舗が交代で営業をしていた。交代で営業をしておいても、そんなに多くのお客が来ているわけではない。日曜は休業だと知っているから、多くの人は日曜に車で出かけるなら前日までにガソリンを入れていた。当時は、それで特に不便も感じなかったのであるが、今なら日曜日に閉まっていっるガソリンスタンドを見ると、不便さに不満を感じそうになる。人間とは、そんなものだ。
 労働時間の短縮が叫ばれ、週休二日が当たり前になってきたが、その休日に働く人の数は確実に増えてきている。正規雇用者で賄いきれない休日の仕事に関しては、非正規雇用者をあてるなどして対応するものだから正規雇用者の割合は増えていかない。失業はしていないにしても安定雇用されている状態でない人が多くなってくる。また、下請け等に仕事を流すのはいいが、先ほどの運送の実態のようなこととなれば、下請けに効率の悪い仕事を回さざる負えなくなってしまう。企業は赤字では成り立たない。効率のいい仕事であっても悪い仕事であっても人手は必要だ。むしろ効率の悪い、利益の薄い仕事にこそ人手を取られているのが実情かもしれない。こうなってくると、個々人も、企業も、地方自治体も国も潤わなくなってくるであろう。かつては、競争に生き残るまで無理をしてでも働くといったこともあった。競争に勝つために利益を度外視するようなこともあっただろう。しかし、今の世の中で業界を独占するなどということは不可能だ。かつての競争相手は小さな地域の中だけのものだったが、今では日本中、ひいては世界中が競争相手なのだ。
 便利になった世の中だが、中途半端な状態で今の世間は成り立っている。土曜、日曜、祝日の労働者人口は増やしながら、労働時間の短縮を叫ぶ、団塊の世代はすでに定年を迎え労働可能な人口は減ってくる。昔の日曜日のような、多くの人が完全に休む休日を月に2日程度でも作れば少しでも労働環境は変わってくるのではないだろうか。大晦日、正月の二日間は小売店もコンビニもガソリンスタンドも飲食店も休業にするなどしてもいいと思う。そうすれば、休日に一点に集中するような人の流れも少なくなるはずだ。自由競争はいいことなのだが、過当競争は、何物にも利をもたらさない。独占禁止法がなぜあるのか、そんなところも考えてみたい。

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