算数は苦手だけど、Ω(オーム)の法則 その2
算数嫌いの人のためのオームの法則他の考え方だ。
特にシリーズ化する気もなくカテゴリも追加はしていない。
この記事を思い立ったのは、オームの法則やそれに付随するそんなに難しいことではない知識を有して当たり前と思われる人が知らずに、いろいろと遠回りしている事実を知ったからだ。自分も文系の人間だ。理系は嫌い。算数も苦手。でも、必要な知識は自分でかみくだいて覚えるしかない。
前回は、オームの法則の基礎を書いた。
算数は苦手だけど、Ω(オーム)の法則
今回は、合成抵抗だ。電気工事士の試験では必ず数問出てくる。

合成抵抗の計算は、図の中の②、③、④の場合の抵抗の計算だ。
どれだけの抵抗になるかによって、電流値が違ってくるので、電気工事では必要なことだ。
仮に、ここに書かれている「抵抗」が全て40Ωだったとしよう。
① の抵抗値は、40Ωとなる。
仮に、100Vの電圧を両端に印可すると、100V÷40Ω=2.5A 2.5Aの電流が流れることになる。
②の抵抗値の計算は少し難しい。この接続は並列となる。
これは、後で計算方法を考えてみよう。
機械の負荷の接続は、基本的には並列で接続される。
この接続方式の抵抗の計算は、必要になることが多い。
これを覚えてしまえば、ヒーターのデルタ結線についても理解できるだろう。
③の接続は、抵抗を直列に接続していることになる。
この場合の抵抗値は、40Ω+40Ω だ。40+40=80 Ωとなる。
仮に、100Vの電圧を両端に印可すると、100V÷80Ω=1.25A 1.25Aの電流が流れることになる。
①の場合と比べてみるとわかるが、抵抗を直列に並べれば並べるほど抵抗値は大きくなる。
そして、直列に抵抗を並べれば並べるほど、流れる電流は小さくなる。
さて、②の並列の接続の場合の合成抵抗だ。
この場合の、抵抗値(R)の計算は、公式がある。
1/R = 1/R1 + 1/R2だ。
抵抗2つが、40Ωだった場合は、1/R = 1/40 + 1/40 = 2/40 R= 20Ω となる。
でも、この計算のあたりからΩの法則までひっくるめてイヤになってくる。
値が変わってくると計算が難しくなるのだ。
ちょっと考え方を変えてみよう。
並列に抵抗を接続した場合は、電流値は大きくなる。
40Ωの抵抗に対して仮に100Vを印可すると、100V÷40Ω=2.5A
もうひとつ、40Ωの抵抗にも、2.5Aの電流が流れることになる。
つまり、2.5A+2.5A=5Aの電流が流れることになるのだ。
そうであるなら、100V÷5A=20Ω 合成抵抗は20Ωということになる。
先ほどの、公式に当てはめるより簡単でしょ。
仮に印可する電圧は、何Vでも答えは同じことになるが、計算しやすい数字にしよう。
200Vを印可するとすれば、200V÷40Ω=5A 5A + 5A = 10A 200V÷10A = 20Ω である。
小数点以下が出てこなければ、計算もやりやすい。
これは、並列に繋がれる抵抗が増えても、計算は同じだ。

上の絵のように、4本の抵抗を並列につなぐとする。
A、B、C、D の抵抗がそれぞれ40Ωだった場合の合成抵抗は、
1/R = 1/40 + 1/40 + 1/40 + 1/40 = 4/40 = 1/10 R=10Ω
電流に置き換えて計算するなら、仮に200Vを印可するとすれば、
200V÷40Ω= 5A 4か所に5A かかるので、流れる電流は、5A + 5A + 5A + 5A =20A
合成抵抗は、 200V÷20A = 10Ω となる。
A、B、C、D の抵抗値が異なる場合も計算方法は、同じ。
A=10Ω B=20Ω C=40Ω D=80Ω だったとすると、
1/R= 1/10 + 1/20 + 1/40 + 1/80 = 3/16 R ≒ 5.33Ω
電流値に置き換えて計算すると、仮に200Vを印可すると、
200V÷10Ω + 200V÷20Ω + 200V÷40Ω + 200V÷80Ω = 20A + 10A + 5A + 2.5A = 37.5A
200V ÷ 37.5A ≒ 5.33Ω
こんな計算はめったにやらなくていいが、やり方だけは覚えておこう。
分数が苦手な人にも、今では便利なものができている。
Andoroidを使っている人なら、分数の計算のできる電卓もダウンロードできる。
分数電卓
でも、計算式を知らないと使えない。
計算を間違えないために覚えておきたいこと。
抵抗を直列で接続した場合は、合成抵抗値は、加算で大きくなり、電流値は小さくなる。
抵抗を並列で接続した場合は、合成抵抗値は、その接続されている最小の抵抗値より小さくなり、電流値は加算で大きくなる。
例えば、並列の合成抵抗を計算する時に、その中に10Ωの抵抗があったとすれば、合成抵抗は、10Ω未満になるはず。
実際に抵抗値がどのようになるか確認してみよう。
計算するだけでは実感がわかない。

ブレッドボードという便利なボードだ。半田なしで回路も組める。
これと抵抗を使えば、合成抵抗も作り出せる。
写真のように、横方向の5つの穴は電気的に接続されている。
左右の外の+ - と書かれた部分は縦につながっている。

縦の方向は、電気的に接続されていない。
つまり電気は流れない。

抵抗を単体で測定。
定格39Ωの抵抗である。抵抗にも多少の誤差はあるし、テスターもどこまで正確かはわからない。
テストリードの汚れでも、測定値に影響する。

これは、抵抗を直列に2本並べて測定。
39Ωの抵抗を2本直列に並べているので、計算では、39+39=78Ω
この測定値なら誤差の範囲内だ。
実際の抵抗の測定値は、38.6Ωだったので、38.6+38.6=77.2Ω
できすぎたぐらいの測定値だ。

次に、抵抗を並列に並べて測定。
これも、同じ39Ωの抵抗だ。
1/R=1/39+1/39 R= 19.5Ωの計算となる。
実際の抵抗の測定値で計算すると、
1/R = 10/386 + 10/386 R= 19.3Ω
こちらも、できすぎた測定値になっている。
実際の機器でどのように負荷が配置されているかわかれば、ボード上に並べることも可能だ。
今回使用した実験道具。
ブレッドボード 約200円
抵抗39Ω (100本) 約350円
デジタルテスター 約1,500円
ボード用テストリードアタッチ 約600円
合計 約2,700円
正確な合成抵抗を計算するより簡単だ。
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特にシリーズ化する気もなくカテゴリも追加はしていない。
この記事を思い立ったのは、オームの法則やそれに付随するそんなに難しいことではない知識を有して当たり前と思われる人が知らずに、いろいろと遠回りしている事実を知ったからだ。自分も文系の人間だ。理系は嫌い。算数も苦手。でも、必要な知識は自分でかみくだいて覚えるしかない。
前回は、オームの法則の基礎を書いた。
算数は苦手だけど、Ω(オーム)の法則
今回は、合成抵抗だ。電気工事士の試験では必ず数問出てくる。

合成抵抗の計算は、図の中の②、③、④の場合の抵抗の計算だ。
どれだけの抵抗になるかによって、電流値が違ってくるので、電気工事では必要なことだ。
仮に、ここに書かれている「抵抗」が全て40Ωだったとしよう。
① の抵抗値は、40Ωとなる。
仮に、100Vの電圧を両端に印可すると、100V÷40Ω=2.5A 2.5Aの電流が流れることになる。
②の抵抗値の計算は少し難しい。この接続は並列となる。
これは、後で計算方法を考えてみよう。
機械の負荷の接続は、基本的には並列で接続される。
この接続方式の抵抗の計算は、必要になることが多い。
これを覚えてしまえば、ヒーターのデルタ結線についても理解できるだろう。
③の接続は、抵抗を直列に接続していることになる。
この場合の抵抗値は、40Ω+40Ω だ。40+40=80 Ωとなる。
仮に、100Vの電圧を両端に印可すると、100V÷80Ω=1.25A 1.25Aの電流が流れることになる。
①の場合と比べてみるとわかるが、抵抗を直列に並べれば並べるほど抵抗値は大きくなる。
そして、直列に抵抗を並べれば並べるほど、流れる電流は小さくなる。
さて、②の並列の接続の場合の合成抵抗だ。
この場合の、抵抗値(R)の計算は、公式がある。
1/R = 1/R1 + 1/R2だ。
抵抗2つが、40Ωだった場合は、1/R = 1/40 + 1/40 = 2/40 R= 20Ω となる。
でも、この計算のあたりからΩの法則までひっくるめてイヤになってくる。
値が変わってくると計算が難しくなるのだ。
ちょっと考え方を変えてみよう。
並列に抵抗を接続した場合は、電流値は大きくなる。
40Ωの抵抗に対して仮に100Vを印可すると、100V÷40Ω=2.5A
もうひとつ、40Ωの抵抗にも、2.5Aの電流が流れることになる。
つまり、2.5A+2.5A=5Aの電流が流れることになるのだ。
そうであるなら、100V÷5A=20Ω 合成抵抗は20Ωということになる。
先ほどの、公式に当てはめるより簡単でしょ。
仮に印可する電圧は、何Vでも答えは同じことになるが、計算しやすい数字にしよう。
200Vを印可するとすれば、200V÷40Ω=5A 5A + 5A = 10A 200V÷10A = 20Ω である。
小数点以下が出てこなければ、計算もやりやすい。
これは、並列に繋がれる抵抗が増えても、計算は同じだ。

上の絵のように、4本の抵抗を並列につなぐとする。
A、B、C、D の抵抗がそれぞれ40Ωだった場合の合成抵抗は、
1/R = 1/40 + 1/40 + 1/40 + 1/40 = 4/40 = 1/10 R=10Ω
電流に置き換えて計算するなら、仮に200Vを印可するとすれば、
200V÷40Ω= 5A 4か所に5A かかるので、流れる電流は、5A + 5A + 5A + 5A =20A
合成抵抗は、 200V÷20A = 10Ω となる。
A、B、C、D の抵抗値が異なる場合も計算方法は、同じ。
A=10Ω B=20Ω C=40Ω D=80Ω だったとすると、
1/R= 1/10 + 1/20 + 1/40 + 1/80 = 3/16 R ≒ 5.33Ω
電流値に置き換えて計算すると、仮に200Vを印可すると、
200V÷10Ω + 200V÷20Ω + 200V÷40Ω + 200V÷80Ω = 20A + 10A + 5A + 2.5A = 37.5A
200V ÷ 37.5A ≒ 5.33Ω
こんな計算はめったにやらなくていいが、やり方だけは覚えておこう。
分数が苦手な人にも、今では便利なものができている。
Andoroidを使っている人なら、分数の計算のできる電卓もダウンロードできる。
分数電卓
でも、計算式を知らないと使えない。
計算を間違えないために覚えておきたいこと。
抵抗を直列で接続した場合は、合成抵抗値は、加算で大きくなり、電流値は小さくなる。
抵抗を並列で接続した場合は、合成抵抗値は、その接続されている最小の抵抗値より小さくなり、電流値は加算で大きくなる。
例えば、並列の合成抵抗を計算する時に、その中に10Ωの抵抗があったとすれば、合成抵抗は、10Ω未満になるはず。
実際に抵抗値がどのようになるか確認してみよう。
計算するだけでは実感がわかない。

ブレッドボードという便利なボードだ。半田なしで回路も組める。
これと抵抗を使えば、合成抵抗も作り出せる。
写真のように、横方向の5つの穴は電気的に接続されている。
左右の外の+ - と書かれた部分は縦につながっている。

縦の方向は、電気的に接続されていない。
つまり電気は流れない。

抵抗を単体で測定。
定格39Ωの抵抗である。抵抗にも多少の誤差はあるし、テスターもどこまで正確かはわからない。
テストリードの汚れでも、測定値に影響する。

これは、抵抗を直列に2本並べて測定。
39Ωの抵抗を2本直列に並べているので、計算では、39+39=78Ω
この測定値なら誤差の範囲内だ。
実際の抵抗の測定値は、38.6Ωだったので、38.6+38.6=77.2Ω
できすぎたぐらいの測定値だ。

次に、抵抗を並列に並べて測定。
これも、同じ39Ωの抵抗だ。
1/R=1/39+1/39 R= 19.5Ωの計算となる。
実際の抵抗の測定値で計算すると、
1/R = 10/386 + 10/386 R= 19.3Ω
こちらも、できすぎた測定値になっている。
実際の機器でどのように負荷が配置されているかわかれば、ボード上に並べることも可能だ。
今回使用した実験道具。
ブレッドボード 約200円
抵抗39Ω (100本) 約350円
デジタルテスター 約1,500円
ボード用テストリードアタッチ 約600円
合計 約2,700円
正確な合成抵抗を計算するより簡単だ。
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