2019年07月 - にゃん吉一代記
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Nゲージ キハ32形 鉄道ホビートレイン マイクロエース 2019年7月再販



キハ32形 鉄道ホビートレインの模型がマイクロエースから再販された。

四国を走る、なんちゃって新幹線とか、世界最遅?の新幹線とか言われることもある。


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0系新幹線のような顔つきの気動車である。


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かっこいい。



さっそく走らせてみた。


Nゲージ キハ32形鉄道ホビートレイン 2019年7月再販 マイクロエース




マイクロエース キハ32形 鉄道ホビートレインは、かなり前にマイクロエースから販売されていた。
再販の案内は、かなり前から出ていたことがあったが、製造予定となってからずいぶん経っても製造されないため、一時は予約していたのに販売しているところが、返金処理をすることもあった。
それから、しばらく経って、急に再販のお知らせが届いた。
すぐに予約すると、1週間ほどで発売となって、とても喜んでいる。

列車って、ほんとうに、いいですね。

さよなら、さよなら、さよなら。



by Nyankichi Yodogawa





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見たかったもの



石川啄木の、まわりの人というのは、ある意味、啄木の被害者といった人が多いような気もする。
ちなみに私は、啄木がきらいなわけでは決してない。
むしろ、好きである。
人間らしいと思うのだ。

啄木は、まわりの人を多く巻き込んだ。
いい意味で巻き込んだわけではないことが多い。

石川啄木は、1912年(明治45年)4月13日に亡くなった。
あまりに若すぎる、26歳没だ。
8月まで生存していれば、大正時代になっていたが、明治のうちに人生の幕を閉じてしまった。
1912年4月15日には、タイタニック号の沈没事故も起きている。
あまり関係ないが。

さて、その石川啄木の臨終に立ち会った友人がいた。
若山牧水である。
九州の出身らしい。
啄木と同年代の人であった。


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盛岡市の下橋中学校の校門前に、啄木と牧水の歌碑がある。

城跡の古石垣にゐもたれて
聞くともなき
波の遠音かな

こちらが牧水の詩である。



隣の啄木の詩

教室の窓より遁げて ただ一人
かの城址に
寝に行きしかな

で、若山牧水さんに関して少し調べた。
鉄道の旅が好きだったらしい。
それ以上に、お酒が好きだったらしい。


若山牧水さん Wikipediaより

旅を愛し、生涯にわたって旅をしては各所で歌を詠み、日本各地に歌碑がある。鉄道旅行を好み、鉄道紀行の先駆といえる随筆も残している。大の酒好きで、一日一升程度の酒を呑んでいたといい、死の大きな要因となったのは肝硬変である。ちなみに、夏の暑い盛りに死亡したのにもかかわらず、死後しばらく経っても死体から腐臭がしなかったため、「生きたままアルコール漬けになったのでは」と、医師を驚嘆させた、との逸話がある。自然を愛し、特に終焉の地となった沼津では千本松原や富士山を愛し、千本松原保存運動を起こしたり富士の歌を多く残すなど、自然主義文学としての短歌を推進した。



やはり、啄木の臨終を看取った友人は、すごい。
ただものではない。


その若山牧水さんの歌碑が立川にあると知った。


DSC_1276.jpg

DSC_1278.jpg



立川の駅の古茶屋
さくら樹の
紅葉のかげに見おくりし子よ

のほほんとした詩だ。

このような歌碑に会えると嬉しい。


昔の鉄道の旅は、今と違って、のほほんとしていたのだろう。





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最近の動画



梅雨の時期は、ジメジメと動画咲く作成などもやっていた。

すきっと晴れる日は、いつ来ることだろう。
日照時間が短くて、身体の中までジメジメの気分だ。
洗濯物の乾きが悪い。


Nゲージ KATO キハ58系気動車 2019年



Nゲージ マイクロエースA 5944 14系500番台 急行「はまなす」



Nゲージ サロンエクスプレス東京 KATO



Nゲージ電気機関車 KATO EF200



最初の気動車は、昭和の頃に活躍していたものだ。
古いものが好き。

よく年をとった人が、「昔はよかった。」と、つぶやくのと同じだ。
世知辛い、ご時世なのだ。

漢字、読めない人は辞書で調べるように。





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ごるご君 働き方改革 うしろの 太郎



この物語は、当然のごとくフィクションである。
実在の、人物、企業、霊界の人物、企業、団体等には何ら関わりがない。





あの世の働き方改革を終えた、ごるご君だったが、困った問題を抱えていた。

ごるご君 働き方改革 死神のセキュリティチェック

↑ こんな感じで、前回は終わっている。
他人に後ろに立たれることを、極端に嫌う、ごるご君に、こともあろうに背後霊の太郎さんが、とり憑いてしまったのだ。
「俺の後ろに立つな!」
時々、するどい声で叫んで、回し蹴りをくれてやる。
ところが、太郎さんは背後霊なので、回し蹴りは当らない。
早く離れて欲しいと、ごるご君は切に願っているが、自力で、あの世に帰ることができなくなった太郎さんだ。
まあ、おかげで退屈な時の話し相手にはなるのだが、自分の後ろに気配があることが許せない、ごるご君である。
「ねぇねぇ太郎さん、そろそろ僕から離れてくれませんか。」
「私も、あの世に帰りたいのですが、自力では帰れなくて。誰かに憑いていないと存在がなくなりそうですし。」
こんな会話を何度も繰り返している。
あれから、ずいぶん月日も経った。

「太郎さんは、お迎えの人をやっていた時の給料は、いくらだった?」
「日によって違いますが、1人運べは、50万円ぐらいを、5人で分ける感じでした。死神さんが、ピンはねすると少なくなりました。」
「それじゃ、1回あたり10万ぐらい。月に20回お迎えに行ったら、200万じゃん。」
ごるご君のアルバイトの時給は、1,120円である。
200万円稼ごうとすると、1,785時間働かなければならない。
24時間働いて、約75日必要だ。
つまり、ごるご君がいくらバイトで稼いでも、太郎さんの給料には勝てないということだ。
「うらやましいよ、太郎さん。いくらか回してくれない。」
「そう見えると思いますが、上の世界はインフレで、月々の生活費が180万円以上は、かかります。20日働ければいいのですが、病気をすると困難です。もうすぐ、消費税も増税されそうなので、生活苦です。調査によると、年金以外に2億円ぐらい貯めておかないと、安定した老後は送れないようです。」
地獄の沙汰も金次第とは、うまく言ったものだ。ごるご君は思った。
「ところで、お迎えの人の人数は、足りているの?」ごるご君が聞いた。
「足りているなら、私なんかは、お払い箱になっているかもしれません。突発の、お迎えが入っても、5人で1チームということになっているので、仕事があります。」
「それじゃ太郎さんは、他の仕事があったら、他の仕事をやる?」
「できれば、もっと楽な仕事をしたいです。お迎えの人で、2000歳を越えている人の多くは、そう思っています。」
「う~ん。」ごるご君は考えた。


翌日、ごるご君は休日であった。
「太郎さん、今日は買い物をして、上の世界に行こう。」
ごるご君が、太郎さんに話しかけた。
「まだ、眠いのですが。」
寝ぼけた声で太郎さんが答える。
「それじゃ、買い物が終わるまで、寝てていいよ。」
今日の、ごるご君は寛容だ。

ごるご君は、産業用ドローンを買いに出かけた。
約30kgの物を運ぶことができる産業用ドローンは、1機あたり約500万円だった。
先日、某国のスランプ大統領暗殺計画でもらった金で、10機ほど買った。

スランプ暗殺? ↓
ごるご君 リターンズ


「これで、太郎さんは、楽に働けるはず。」
ごるご君は、ほくそ笑んだ。

ごるご君のアパートは狭い。
布団を敷く時にはテーブルを片付けなければならない。1部屋である。風呂とトイレはある。ユニットバスというやつだ。小さな流しもある。この部屋で、あかの他人の背後霊と過ごすのは、つらい。ここは改革だ。


「太郎さん、起きて。」
ごるご君が言った。
「おはようございます。」
やっと、起きだしてきた太郎さんだ。
背後霊のくせに、睡眠時間が長い。それなのに突然起きて、背後に気配を感じさせる。
ごるご君にとっては、とても迷惑な存在だ。

「太郎さん、前のように、あの世まで道案内して。ジェット戦闘機を飛ばすから。」
ごるご君は言った。
「成田から、あの世まで行った時のようにですか?」
太郎さんが聞く。
「そう。簡単でしょ。」
ごるご君の言葉に、太郎さんは困惑ぎみだ。
「その前に、太郎さん。昨日、何を食べた?」
「いえ、特に変わったものは、食べていません。」
「にんにく食べてるだろう。そして酒も飲んでるみたいだし。」
「ほんの少しです。」
ごるご君は背後に敏感だ。


「話を続けますね。成田の時は、ごるご君は幽体だったから楽に上の世界に行けました。でも、今のごるご君は、生身なので簡単ではないかもしれません。」
太郎さんが言う。
「それじゃ、僕が幽体になればいいのですか?」
ごるご君は言う。
「かってに幽体には、なれません。下手な死に方をすると自縛霊になって、そこから動けなくなってしまいます。」
「それじゃ、上の世界には行けないのですか?」
ごるご君の言葉に、太郎さんは、
「どうしても、行きたいのですか?」
と、言った。
「どうしてもってわけではないけど、きっと太郎さんも幸せになれると思って。」
実は、ごるご君の本心は、後ろの背後霊から解放されたいだけであった。
「そうですか、死神さんが認めてくれるなら、何とかなりますが。」
太郎さんが言った。
「死神さんに連絡できる?」
「それは、できます。恐れ多い存在ですけど。」
「それじゃ、連絡してみて。僕に電話代わってもらっていいから。」
 

太郎さんは、スマホを取り出して、死神さんに連絡した。
「もしもし、死神さんですか?お迎えの太郎です。ごるご君が上の世界に行きたいと言っているのですが、連れていっていいですか?」
「・・・・・・・・。」
「そうですか、特例ということでは、ダメですか?」
「・・・・・・・・。」
会話が続いているようだ。


なんか、埒があかない。
「電話かして。」

ごるご君が太郎さんの電話を取り上げた。


「もしもし、死神さん。ごるご君です。」
「ああ、ごるご君、お元気ですか?」
「元気、元気。今から、そっちに行きたいんだけど許可ちょうだい。」
「いや、閻魔大王様の許可も必要なので、時間がかかります。」
死神さんは、ごるご君の来訪を避けたそうだ。
「それじゃ、今から太郎さんと一緒にジェット戦闘機で行くから、10分以内に許可もらっておいて。」
ごるご君は、簡単に言う。
「書類も出さないといけないので、3日ぐらいは、かかると思いますが。」
「3日?」ごるご君の声は怒っている。
「申し訳ございません。3時間待ってください。」
慌てたように死神さんが言う。
「30分で、なんとかして。それと必要経費で買い物したので、5000万円ほど準備しておいて。」
「その金額は、私の決裁権を越えています。稟議通るまで待ってもらえますか?」
「ふざけるな!おまえが立て替えろ。」
「はい。わかりました。」

死神は、ごるご君に従順である。
かつて、ごるご君の背後に立ったために、テンプルに回し蹴りをあびせられ、最後は取り押さえられて大鎌まで、奪われた。しかも、ごるご君は、成田空港に大鎌を置き忘れたので、死神は閻魔大王に、こっぴどく叱られた。おかげで今も減給処分を受けている。


ごるご君は、アパートを出た。
アパートの前の空き地に置いている、F-22 ラプターに乗り込んだ。
ステルス型ジェット戦闘機というやつだ。
先ほど買ってきた、ドローンも載せた。
太郎さんは、かってに背後についている。

「さて、行こうか。」
ごるご君は、エンジンを始動させたと思ったら、暖機運転もそこそこにカタパルトを使って離陸した。
「騒音を出すと、叱られるから。」
ごるご君は、操縦桿を引いた。
機体は、ぐんぐん上昇していく。
「ごるご君、スピード違反じゃないですか?目がまわりそうです。」
太郎さんが言う。
「いいから、しっかり道案内して。」
ごるご君は、意に介さない。
「このまま、上昇していいの?」
「スピードが早すぎて、どのへんかわかりません。ゆっくり旋回しながら上昇してください。」
ごるご君は、左旋回しながら上昇を続ける。
無線に何か入ってくるが、面倒なので無視することにした。この機体を追尾できる航空機は、ほとんどないはずだ。
太郎さんが、背中でモゴモゴしている。
「どうした太郎さん。」
「申し訳ないです。すでに通り過ぎているみたいです。それと乗物酔いかも。」


ごるご君は不機嫌になった。
この機体は、燃費も悪い。
「じゃ、どっちに行けばいいの。」声を荒げて太郎さんに聞いた。
「ゆっくり右に旋回しながら下降してください。」
「右旋回だって!僕は右折が苦手なの知ってるでしょ。」
「そんなことを言われましても。」
太郎さんは背中で焦っている。
「使えない背後霊だ。」
ごるご君は、機体を右に旋回させて下降を始めた。
左旋回の時と違って機体の動きがぎこちない。
「だいたい、後ろに背後霊がいるのがよくない。おまけに、にんにくまで食ってやがる。」
ごるご君は、ブチブチと愚痴っている。
「帰れなくなったんだから、仕方ないでしょ。」
太郎さんが反論した。気配が強くなる。
「俺の後ろに立つな!」
ごるご君は、鋭く叫んだ。
「立ってないもん。憑いてるだけだし。」
ふてくされたように太郎さんが反論する。
「屁理屈を言うな!」
ごるご君の機嫌がだんだん悪くなる。
その時、太郎さんが声をあげた。
「ごるご君、見えてきました。次を左に曲がってください。」
ごるご君は、素早く機体を左に旋回させる。
「ゆっくり飛んでください。もうすぐ到着です。」
太郎さんが言う。

そういえば、あの世の陸地は、あまり広くなかった。
前に来た時はヘリだったので楽に着陸できたが、ジェット戦闘機を着陸させるには、そこそこの距離が必要だ。ごるご君のアパートの前の空き地には、カタパルトとアレスティング・ワイヤーを隠して装備してあるが、あの世に、そんな設備があるとは思えない。
「太郎さん、悪いけど死神に電話して、アレスティング・ワイヤーを装備しておくように言って。」
太郎さんは、すぐに死神に電話した。
「もしもし、太郎です。ごるご君からの伝言です。もうすぐ到着なのでアレスティング・ワイヤーを装備しておいて欲しいそうです。」
「・・・・・・・・・。」

なんか、電話の向こうで、あれこれ言っているようだ。
「電話貸して。」
ごるご君は、太郎さんからスマホを取り上げた。
「もしもし。何?アレスティング・ワイヤーがわからない?昔、空母に乗っていた人を探し出して聞け。10分以内に装備しておいてね。それじゃ。」
「ごるご君、もうあの世の入口です。」
陸地が見えるが、この高度では着陸できない。何周か旋回して着陸しよう。
陸地では、人が、動いているのが見える。
アレスティング・ワイヤーを装備しているようだ。
10分ほど経った。
「ちょっと死神に電話して。」
太郎さんが、スマホを出して、コールが始まると、ごるご君がスマホを取った。
「もしもし、死神さん。ごるご君です。もう準備できた?」
「たぶん大丈夫だと思います。」自信なさげな声だ。
「着陸に失敗したら建物に突っ込むかもしれないから、ワイヤーはしっかり固定しておいてね。」
ごるご君は電話を切って着陸態勢に入った。

さすがのごるご君も、着陸は緊張する。
無言で操縦桿を握る。
十分に速度を落としつつ、地上に近づく。
ギアダウン!
着地!
地上に降りた途端に、逆噴射させる。
機体は上手くアレスティング・ワイヤーに絡んだ。
妙にふわふわとした地面なのだが、大きなショックもなく機体は無事に着陸した。
キャノピーを開いた、ごるご君は、F22ラプターから降り立った。
ぞろぞろと人が、出てくる。
陸地に降りた途端に太郎さんの気配は背中から消えた。
そして、ごるご君の前に立っている。
「太郎さん。離れたね。」
ほっとしたように、ごるご君が言った。

お迎えの人が出迎えてくれる。
ふだんは、あの世からのお迎えの人たちだ。
「みんな久しぶり。」
ごるご君は、みんなに声をかけた。
「ようこそ、ごるご君。」
お迎えの人々は嬉しそうに言った。
前に一緒に仕事をした仲間だ。
再び会えたことを喜んでいる。

「入口に装備したセキュリティゲートは上手く作動している?」
ごるご君が問いかけた。
「ばっちりです。専任の担当者も3交代で仕事しています。おかげでテロも不審物の持込もなくなりました。先月から麻薬捜査犬も配備したので、この世界はずいぶん住みやすくなっています。」
「それは、よかった。」
そう言った時に、設置を担当した、お迎えの人が前に来た。
「今では、私がこの施設の責任者です。給料も上がりました。ごるご君ありがとうございます。」と言った。
「よかったですね。」
二人は、固く握手した。

ふと、ごるご君が、F22ラプターを見た。
操縦席には、ごるご君が座ったままだ。
ここで話をしている、ごるご君は幽体のみなのだ。
不思議な世界だ。

「ところで死神さんは、どこにいるのですか?」
お迎えの人の一人が答えた。
「死神さんは、最近は建物の中にいます。セキュリティーゲートを通った後の人の案内をしています。」
「それでは、死神さんの仕事も楽になったのかな?」
ごるご君が聞いた。
「かなり楽になったようです。ただ・・・。」
お迎えの人は、言いにくそうだ。
「なんか、問題があったのですか?」
ごるご君が聞く。
「いえ、待合室で待つ人が多くなりすぎているのが少し問題になっているようです。」
「それでは、待合室に連れていって。」
ごるご君は、新たな改革が必要だと思いながら言った。

セキュリティゲートを抜けて、ごるご君は待合室に入った。
麻薬捜査犬が、ごるご君の近くにきて匂いを確認している。
「太郎さんの匂いは、にんにく臭いだろうな。」
心の中で、ごるご君は思った。

待合室では、死神さんが次々に客をさばいていた。
死神さんと、事務室の職員が対応しているが、待っている人が多すぎるようだ。

「死神さん!」
ごるご君は、死神に呼びかけた。
「ごるご君、お久しぶりです。」
死神は、深々と頭を下げた。
「忙しそうだね。」
ごるご君は、微笑んだ。
「おかげさまで。」
死神も愛想笑いを浮かべる。

「ところで死神さん、お迎えの人って、重労働でしょ?」
ごるご君は言った。
「そうですね。若い人が募集してくれたらいいのですが、最近は高齢者が増えて、きつい仕事になっているようです。それでも働かなければならない人も多くいます。」
「そうだよね。そこで少し提案があるんだけど。」
ごるご君は、いじわるそうな顔をして言った。
「なにか、方法があるのですか?このままだと年金の受給以上に霊体の受け入れが困難になりそうだと先日の会議でも討議していたことです。」
死神は、言った。
「ちょっと、こっちに来て。」
ごるご君は、死神の黒い衣装の袖をひっぱる。
死神は、大鎌を奪われないように隠しながら、ごるご君について行く。

入ってきたセキュリティゲートから出ることはできなくなっていた。たまに逃亡しようとする人が、いるらしい。通用口というものがある。手前に警備室みたいな部屋がある。扉の前には警備の人間が7人ほど立っている。死神が、外に出るための手続きをしている。すぐに手続きは終わったようだ。
「前に比べると面倒になったね。」
「閻魔大王様との面談の前に逃げ出したヤツがいて、捕まえるまでに3日もかかってしまいました。セキュリティゲート側の扉は、逆方向には行けないように加工しました。でも、私や、お迎えの人たちは、外に出る必要があるので、通用口を作りました。基本的には事前に手続きをしておかないと、通れないようになっています。」
「無理に通ろうとしたら、どうなるの。」
「地獄行きの終身刑です。」
死神は、遠い目をして言った。


F22ラプターを駐機している所まで死神をひっぱって来た、ごるご君は、積んでおいた、産業用ドローンを取り出した。
「何ですか?これは?」
死神は、初めて見るドローンを不思議そうに見ている。
「これは、ドローンだよ。ちょっと待ってて。」
ごるご君は、すばやくドローンを組み立てる。そして送信機を操った。
ドローンは、小さな音をたてて浮上する。
「これは?何をするものですか?」
死神は、不思議そうに聞く。
「下の世界では、ドローンで宅配便の荷物を運ぶことも実施されている。これを使えば、お迎えの人の人数は半分にできるよ。」
ごるご君は、得意そうに言った。
「1機で、約30kgの重さのものを運ぶことができる。一般の人の体重だったら、これが2機か3機あれば十分に運べる。GPSも搭載しているので位置の情報さえ入力してあげれば、無人でもここまで連れてくることができる。」
「えっ、そんなことができるのですか?」
死神は不思議そうに見つめている。
「まあ、最初は人が管理したほうがいいから、迎えの人を2人ぐらいと、このドローンを2機ぐらいで実験したらいいんじゃない。うまくできるようなら、お迎えの人は1人にして、ドローンは体の大きさに合わせて数を決めて飛ばせばいいと思うよ。」
「そうですか?」
死神さんはまだ実感がわかないようだ。

そこに緊急放送が流れた。
「お迎えCチームさん、お迎えCチームさん。豊島区の佐藤さんのお迎えに向かってください。」
死神の前に、お迎えCチームが湧き出るように現れた。
「ちょうどいいじゃん。死神さん。」
ごるご君が言った。
「今回は、2人とドローン3機で行ってみようよ。僕も行くから。」
「お迎えは、5人で行くものと決まっているのですが。」
死神さんは、困惑したように言う。
「何事もチャレンジだって。君と君、一緒に来て。」
そう言って、ごるご君は2人だけを連れて、お迎えに出かけた。
迎える人の素性がわからないので、3機のドローンを持って行った。

豊島区に到着すると、お年を召したご婦人が、お迎えを待っていた。
ごるご君は素早く2機のドローンを装備した。
送信機を、うまく使う。
一緒に来たお迎えの2人は、びっくりしている。
ごるご君の操縦で、ドローンは簡単に上空に向かう。
迎えられる、ご婦人は、「こんなに快適な旅なのですね。」と感想をもらした。
ネロとパトラッシュが天使に囲まれて昇天するかのように、ドローンは揺れることもなく、上空に上がっていく。
「太郎さんが行き先を入力したら、GPSが簡単に目的地まで運んでくれるようになるよ。」
ごるご君の言葉に、2人のお迎えの人も感動している。
「これまで重いと思いながら働いていたのですが、ほとんど力は使わなくても大丈夫ですね。」
お迎えの人は、ドローンを使うことに賛成のようだ。

以前に太郎さんが、ごるご君の頭を持って、5人のお迎えの人が上の世界まで、ごるご君を運んだときには、何度か、ごるご君の頭は下に向けられてしまったが、ドローンを使った昇天では、そのようなこともなかった。惜しまれながらではあるが、間もなく昇天は終わった。
お年を召したご婦人は、上の世界に着くと、「ありがとうございました。」と言って、お迎えの人の案内で、セキュリティゲートに向かって歩いて行った。

「どう?見てた?」
ごるご君は、死神に聞いた。

「すばらしい。」
死神さんは感動しているようだ。
「10機ほど買ってきたから、上手く使って。きっと太郎さんなら位置情報を正確に入力できると思うので、うまく活用できると思うよ。」

「ごるご君、ありがとうございます。」
お迎えの人々が口をそろえて言った。

「これ、払って。」
きびしい口調になった、ごるご君が死神に向かって言った。
手渡した領収書には、5,000万円と書かれてある。
「今ですか?」
死神さんが困ったように言う。
「後でもいいけど、遅くなればなるほど金利がつくから、早く払ったほうがいいと思うよ。」
ごるご君は、静かに言った。

「わかりました。」
死神さんは、消え入りそうな声で言った。

「追加購入が必要だったら、1機あたり700万円で売ってあげるから。今回は、まとまっているので特別価格だよ。」
恩着せがましく、ごるご君は言った。
「ありごとうございます。」
こうして、ごるご君は上の世界の仕事を、またひとつ改革したのであった。

「太郎さん、位置入力をよろしく。1度入力すれば繰り返しの仕事になるので楽になると思うよ。」
ごるご君は、太郎さんに向かって言った。
「ごるご君、ありがとう。」
太郎さんは、うるうるしている。
「特殊作業なので、給料いっぱいもらってね。死神には、僕からも言っておくから。」

近くにいる死神は、何も言えない。

ごるご君は、死神の近くに行って、何やら言っている。
太郎さんの給料について話した後で、携帯の番号も聞き出した。

そして、太郎さんの携帯の番号も聞いた。
「もし、死神が給料を出し渋ったら、飛んで来るから。いつでも連絡して。」


「それじゃ、明日はアルバイトがあるから、そろそろ帰ります。」
そう言って、ごるご君は、F22に乗りこんだ。
座っている本体を押しのけるようにして、操縦席に座る。
狭いが仕方ない、本体を置いて帰るわけには、いかない。
次からは、時間かかるけど、ヘリで来ることにしよう。
ごるご君は思った。

みんなが手を振っている。
エンジンを起動させた、ごるご君は、手を振ってから離陸しはじめた。

滑走距離が足りない。
発進して、すぐに真下に落ちていく感覚だった。
すぐに機体を立て直した、ごるご君は、レーダーとGPSを駆使して自宅に向かった。
数分後には、アパートに到着した。

何か、忘れているような気がする。
「太郎さんが、いなくなったからかな。」
漠然と思った。


1週間後、アルバイトの給料日だった。
ふと、思い出す。


5,000万円忘れた!







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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

ごるご君 働き方改革 死神のセキュリティチェック



この物語は、フィクションです。
実在や仮想の人物、団体、企業等とは何ら関わりはございません。





 いつものように東急ストアのアルバイトを終えた、ごるご君は早めに寝た。
梅雨時期は寝苦しい、ごるご君のアパートは、古い。ノー気密、ノー断熱だ。
朝と夕とで外と変わらない気温差だ。

 夜中に何かの気配で目が覚めた。
気配はあるが姿は見えない!。「危険だ。」スナイパーの本能が騒ぐ。
突然、身体を持ち上げられる。下を見ると、眠っている、ごるご君が見える。
「まずい!」ごるご君は、精一杯抵抗しようとしたを。しかし無言の力は抗うことを許さない。
だが、頭の付近を持ち上げている奴の力は時に緩くなる。それで下が見えるのだ。
他の所を持ち上げているやつらの気配は、静かなのだが、頭を持っているやつの気配は、肩で息をしている気配だ。

 数分後だろうか、短い時間か長い時間かわからない。ずいぶん高い所まで連れて来られた。
たまに見える街並みは、はるか下だ。
ごるご君の身体を持ち上げていたやつらの姿が薄ぼんやりと人の形になってきた。
やつらは、ごるご君をふわふわとした地面に下ろすと、少し高いところにいる大きな鎌を持ったやつの所に集まっていく。
5人だったようだ。4人は、シャキシャキ歩いているのだが、1人だけフラフラしながら、やっと4人の後について歩いている、じいさんがいる。「やつが頭を持っていたやつだ。」ごるご君は、直感した。
5人は、大鎌を持ったやつから何かもらっている。気になったごるご君は、近づいてみた。
何か封筒を受け取っている。最後に封筒を受け取った、くだんのじいさんの手から封筒が地面に落ちた。
ごるご君は、封筒を拾ってやって、じいさんに渡しながら封筒に書かれた文字を見た。
【アルバイト料】と書かれてあった。
大鎌を持った男は、5人の中のリーダー格の男に別の書類を手渡して何やら指示をしているようだ。
短い指示が終わるとリーダー格の男は、4人にアイコンタクトを送った。
ふっと5人の姿が、ふわふわとした地中に消えていく。
みんな消えたと思ったのだが例のじいさんの首から上が地上に残っている。
「面倒なやつだ。」そう言いながら、大鎌を持った男は、手でじいさんの頭を地中に押し込む。
じいさんの姿が消えて地上には、ごるご君と大鎌を持った男が残った。

 「こんばんは、ここはどこですか?」ごるご君が、男に話しかけた。
「ここは冥府の入り口じゃ。私は死神。」
「僕は、どうしたのですか。」
「君は死んだ。ごるご君。」
「なぜ?病気もしていなかったのに。」
「最近は上の世界にも、いろいろと事情があってな。こちらでは下の世界以上に高齢化が進んでいる。そこで、元気そうな若い者も連れてこようということになった。」
「それでは、僕は殺されたのですか?」
「そうではない。突然死じゃ。」
「死因は何になるのですか?」
「それは、告知できない、守秘義務じゃ。最近は、個人情報の扱いには気をつけないと足下をすくわれる。人を信じ過ぎてはいけない、信じる者は足下をすくわれる。」
どうやら、ごるご君は、突然死させられたらしい。死因も教えてくれないとは、この男は怪しい。後で倉石さんに聞きに行こう。ごるご君は思った。

「僕はこれから、どうすればいいのですか?」
「その先に、建物が見えるじゃろう。まず、そこに行って閻魔大王と面接じゃ。」
死神は続けた。「その前に・・・。」
死神が、ごるご君の背後に回ろうとしたとたんに、ごるご君の回し蹴りが死神のテンプルにヒットした。
「俺の背後に立つな!」するどい口調で、ごるご君は言った。


「わしは、閻魔大王に会う者のセキュリティチェックをしなければならない。君も例外ではない。」
「どうしても、断る。」
強い口調で、ごるご君が言った。
「それでは、無理にでも調べることになるぞ。」
そう言いながら、再度、死神は、ごるご君の背後に回ろうとした。

「くどい!」
ごるご君は、死神を組み伏せて、死神が持っていた大鎌を取り上げた。

「それを取られると、魂の尾が切れなくなる。返してくれ。」死神が言った。
「人にものを頼むのに、その態度はなんだ。」ごるご君が言い返す。

「お願いです、鎌を返してください。」泣きそうな声で死神は懇願した。
「これで、僕の魂の尾も切ろうとしているのか?」
「いえいえ、これは聞き分けのない者を脅すためのものです。ごるご君の魂の尾を切るなんて、ありえません。」
「二度と僕の背後に近づかないなら、返してやる。」
「それでは、セキュリティチェックができませぬ。少しでいいので、チェックさせてください。」

ごるご君は、死神が哀れに思えてきた。
「何か、あったの?」
ごるご君が聞くと、死神は、せきを切ったように話し始めた。

「これまで、私は2000年以上、ここで死神として働いています。これまでは、この世界に上がってくる人間は、みんな素直で従順でした。私は、150年ほど前までは、最優秀死神賞を連続で受賞するほど、真面目に働いてきました。ところが最近の死んだ奴らときたら、閻魔大王様との面接の最中に刃傷沙汰を起こしたり、雑談したりダンスを踊ったりと、やりたい放題です。先日は、閻魔大王様との面接中に自爆テロを起こすやつまで現れました。幸い、閻魔大王様は、髭を焦がしただけで無事だったのですが、私はセキュリティチェックが甘いと、おおいに叱られました。」
「この先は、どんなん流れになっている?なにか知恵を貸してあげようか。」
ごるご君が言った。普段なら、かかわりあいになりたくない手合だが、ちょっとかわいそうだ。
それに、死神に恩をうっておくと、先々、いいことがあるかもしれない。
あの世では、打算的な一面も芽生えた、ごるご君だ。

「その前に、大鎌を返してもらえませんか?」
死神が小さな声で言ったが、この鎌には秘密がありそうだ。
「後で、考えるから、先に案内しろ。」
横柄に、ごるご君は言った。

「それでは、こちらにどうぞ。」
死神が建物に向かって歩き始める。
ごるご君も大鎌を持って続いて歩いた。

 建物は意外に大きい。
入口には冥府と書かれてある。
鎌倉ものがたりで、単コロが到着したのは、「黄泉(よみ)」だったと思うが、いろいろな言い方があるのだろう。
死神が重そうな戸を開いて中に入る、ごるご君も続く。
短い廊下の先に、もうひとつ扉がある。
廊下は、間口2m弱、奥行6mほど。ごるご君は、間取りをメモしている。

 廊下の奥にも扉がある。
死神は、その扉も開いて中に入る。
そこは待合室であった。
不安そうな顔をした人が数人、力なくベンチに座っている。
入口の近くの角には、喫煙所が設けられているが、中には、誰もいないようだ。
「タバコくれ。」ごるご君が、死神に炒った。
死神は、ポケットをゴソゴソと探って細長い箱を取り出した。『日本香堂 毎日香』と書かれてある。喫煙所に入ってみると、線香立が中央にあった。中には、自動販売機もあったが、お線香しか売られていない。
ごるご君は、すぐに喫煙所を後にした。

 待合室の奥に係員の詰所のようなものがあり、隣に小さな扉がある。
詰所の中には、看護師のような白衣を着た人がいる。「〇〇居士さん、入ってください。」白衣を着た人が言った。返事する人はいない、「〇〇さん、〇〇さん。」と呼ばれると一人の男が、ベンチから力なく立ち上がった。「これからは戒名で呼ばれるので慣れてくださいね。」白衣の人が言うと、「なかなか慣れませんね。」と、男は、言った。「こちらです。」白衣の人は、奥の扉を開けて、男を中に入れた。
「奥の部屋が、閻魔大王様との面接ルームになっています。面接が終わると、三途の川の渡し船乗って、それぞれの行き場所に行くことになります。」死神が、説明した。「つまり、あの部屋に入るまでに危険物を取り上げればいいわけだ。」ごるご君の言葉に死神が頷いた。

「最初の廊下に、金属探知器を取り付ければいいじゃん。」「2列にして、片側は持ち物検査のコンベアにすれば、セキュリティチェックは、簡単に終わるよ。」ごるご君は簡単に言った。
死神の頭の上には、クエッションマークが並んでいる。
「それは、どんなものですか?」
「空港にあるやつ。見たことないの?」
「空港とはなんでしょうか?下界のものは、1500年ぐらい前から見ていません。死神に昇格してからは、お迎えにも行かなくなったし。」
「そうか、困ったやつだ。」ごるご君は、ため息をついた。
「お迎えのやつらって重いもの運べる?」ごるご君が聞くと、「何チームか集めれば、少々重いものなら運べると思います。」死神が、答えた。
「それでは、どこかの空港に、行ってセキュリティゲートをもらってこよう。」

 ごるご君は、お迎え隊10チーム、50人を引き連れて、成田空港に行った。
国内線のターミナルに音をたてずに侵入する。音をたてたくても、たてられないし気配を消すことには慣れている集団だ。盗賊団より楽にどこにでも出没できる。半分幽霊のような存在だから簡単だ。
ごるご君の指示で、セキュリティゲートのコンベアと金属探知器はすぐに外された。
「ついでに、あれも何本かもらっておこう。」ハンディタイプの金属探知器も、10本ほど持って行くことにした。
「さて、行こうか。」ごるご君の命令で、全員が動くが、ゲートとコンベアは重すぎる。「これは、無理です。あの世までは、とても運べません。途中まで浮けば何とかなりそうですが。」役に立たない連中だ。しかし、金属探知器を持って帰らないと、はるばる下界まで来た意味がない。
「仕方がない。そのへんにあるパレットにゲートと、コンベアを乗せておけ。そして滑走路の目立たない所に、置いておけ。」そう言うと、ごるご君は、外に出てタクシーを拾った。
 「こんな時間に珍しい、お客様ですね。どこまで行きましょうか。」
タクシーの運転手さんが言う。
「都内の〇〇に行ってください。」
ごるご君は、自分のアパートの住所を言った。
「高速使っていいですか?」
運転手さんの問いかけに、「どんなルートでもいいので、できるだけ早く到着してください。」と、言った。
「かなり、料金かかりますが。」運転手さんが心配そうに言うので、ごるご君は死神から奪ってきた財布を、運転手さんに渡した。
5万円以上はある。
「わかりました。任せてください。」
タクシーは喜々として走りはじめた。すぐに高速に乗る。
「少し飛ばします。」
そう言って、スピードをどんどんあげる。けっこう早い。これなら早く着けそうだ。ごるご君は、ほっとした。
他の車もバスも、どんどん抜き去り、ごるご君の乗ったタクシーは、アパートに到着した。
「ありがとうございます。お釣りはいりません。」
そう言って、ごるご君はアパートの部屋に戻った。
布団を見ると、ごるご君が寝ている。でも、息はしていないようだ。
「AEDを使ったら、息吹き返すのかなー?」
漠然と思ったが、本人が、本人に使っているところは見たことがない。
今度、やってみようかな、と考えながら、キーボックスから、チヌークのキーを取り出す。
すぐに部屋を出て、外の空地にとめてある輸送ヘリのチヌークに乗り込んだ。
飛行の申請をしようかと思ったが、行き先がはっきりしないので、やめた。
エンジンを始動すると、すぐに飛び立った。全速で成田空港に向かう。
時々、無線に何か入ってくるが面倒なことになりそうなので相手にせずに飛び続けた。
すぐに成田空港に到着した。

 滑走路にヘリを降ろすと。地面から湧き出すように、50人のお迎えの人が現れた。
「荷造りはできています。」男の一人が言った。
「よし、それではワイヤーで吊り上げるぞ。」
「わかりました。」
やたらと手際がいい。
ごるご君が、一人の男に話しかけた。
「みんな、手際いいね。」
「この世にいる時に、荷物運びの仕事していたヤツが多いから。」
「そうか、頼もしいな。」
そう言っている間に、「ごるご君!準備できました。」と、声がした。
「よし、それでは出発だ。誰か、地理に詳しいヤツ、隣に乗ってくれ。」ごるご君は言った。
「それでは、私が乗りましょう。」
「よし、出発だ。」
ごるご君は、すばやく操縦席に乗り込んだ。
同乗の男は、もたもたと乗り込む。
ヘリは離陸した。
「さて、どっちの方向に飛べばいいのかな。」
ごるご君は、隣の男に話しかけた。横目で男の顔を見て、ごるご君は、ギョっとした。
「この男は、僕の頭を持って、あの世に連れてった人だ。」
男は、ゆっくりと言った。
「まっすぐ上。」
「了解。」ごるご君は、ヘリをまっすぐ上昇させた。
荷物の周りには、49人のお迎えの人がいる。
しかし、一般の人からは見えないようだ。
ヘリは上昇を続ける。
飛行機と違ってヘリの飛行できる高度は、高くない。4600mあたりが飛行限界だ。
それより先に人の飛行高度の限界が来る。空気が薄くなって酸素が足りなくなるのだ。

「そろそろ、高度の限界が近いぞ。」
酸素マスクの位置を確認しながら、ごるご君が言った。
「その角を右に曲がってください。」男が言う。
角と言われても、何も見えない。
「そこを右です。横断歩道があるから気をつけて。」
ごるご君は、言われるままに右に舵を切った。

「次も右です。標識があります。」
標識の所で右に曲がった。

「もう、見えてきました。」
ごるご君が目をこらして見ると、最初に連れてこられたあたりが、ぼんやりと見える。
次第に、はっきりしてくる。
死神がいるのもわかった。

「よし、着陸するぞ。」
ごるご君は、ゆっくりと着陸態勢に入った。

ゆっくりと機体を下ろしていく。
地面が、ふわふわしていたので心配していたのだが、まず荷物が無事に地上に到着した。
ワイヤーを離した機体は、荷物の近くにゆっくりと着陸する。
プロペラが巻き起こす風で、死神の衣服が揺れている。

「おかえりなさい。」
死神が駆け寄って出迎える。
「ただいま。」ごるご君はヘリから降りた。
49人のお迎えの人たちは、地面からにょろにょろと沸きだしてきた。

死神が言う。
「あの、そろそろ大鎌を返してもらえませんか?」
「あっ!」ごるご君は思い出した。
「ごめん、空港の入口に置いたまま忘れてきちゃった。」

「えっー!」
死神の顔が青ざめる。
「鎌をなくしたら、死神を首になってしまいます。」

「まあまあ、最近は拳銃をトイレに置き忘れる警官もいることだし。後で遺失物の届け出せよ。」

死神は、心なしかふらふらしながら、少し間をおいて言った。
「あの、私の財布は返してもらえますよね。」

「ああ、財布ね。急いでいたので財布ごとタクシーの運転手さんに渡した。」
何事もなかったかのように、ごるご君は言った。

「中身もですか?」
死神は、もはや死体になっている。
「中も外も全部だよ。」
ごるご君は、もはや悪びれることもない。

「財布の中には、クレジットカードも、キャッシュカードも、彼女の写真も入っていたし、死神クラブの会員証も入っていたのに。」
死神は、その場にへたりこんでしまった。
「これまで一生懸命がんばってきたのに、退職金も年金も貰えなくなるかもしれない。」

「年金あっても、2000万ぐらいは貯めておかないと苦しいらしいよ。」
ごるご君は、他人事のように言った。

「さて、セキュリティゲートの取り付けにかかろう。」
ごるご君は、お迎えの人たちに言った。
お迎えの人の中の一人が言う。
「私は生前は、CEIAに勤めていました。金属探知機の設置ならまかせてください。廊下に設置すればいいのですね。ごるご君は、見ているだけで大丈夫です。」
その男は、そう言うと皆に指示を出して、てきぱきと仕事を進めていく。
あれよあれよと言う間に、セキュリティゲートも、コンベアも組みあがった。
「さすが成田空港、いいものを使っている。」
男がつぶやいた。

「さて、試してみよう。」
お迎えの人々がセキュリティゲートを通ってみることになった。
最初に反応したのは、ポケットの中に小銭を入れていた人だ。
出たところで、ハンディータイプの金属探知機で調べられてわかった。
家の鍵や、USBメモリーなど細かなものにも反応することがわかった。
さて、コンベアの荷物検査用の探知機は、オペレータが必要になる。
「こっちは、すぐには使えないなぁ。」
ごるご君が言うと、先ほどの男が言った。
「知り合いの元空港職員も何人かこちらの世界に来ているので声をかけてみます。彼らや彼女らなら機器の扱いにも慣れているので、すぐに稼動させられると思います。あと、出口のところに元警察官の者も何人か配備してテロにも備えるようにします。」

こうして、死神のセキュリティーチェックは機械化された。
「俺の背後に立とうとするヤツが、一人減った。」ごるご君は満足した。


「それじゃ、ヘリを戻しに帰るね。」
ごるご君は、ヘリに乗り込んだが、帰り道がわからない。

「悪いけど、誰か道案内してくれる?」
ごるご君が言うと、「それじゃ、私が。」と言って、例のじいさんがもたもたとヘリに乗ってきた。

「みんな、お元気で!」
ごるご君のヘリの周りには、お迎えの人々が集まってきている。
「ありがとう、ごるご君」皆が手を振っている。

名残惜しいが、離陸だ。
「さて、どう飛んだら帰れるのだ?そういえば、じいさんの名前聞いてなかったね。」
ごるご君が言った。
「私は、太郎です。少し上昇したら左に向かって飛んでください。」
「僕は、ごるご君、太郎さんよろしく。」
そう言いながら、左に向かって飛ぶ。
前方に、アドバルーンが見えたら下降してください。
「了解。」
すぐにアドバルーンが目に入った。
ヘリは下降しはじめる。
「まっすぐ下降してください。」

1分もたたない内に地面が見えてきた。
そこは、ごるご君のアパート上空だった。

着陸態勢に入った。
すぐに、機体はスムースにアパートの前の空き地に着陸した。

「太郎さん、お茶でも飲んでいく?」
ごるご君は、太郎さんを部屋に招きいれた。
「狭いところだけど、入ってください。」
布団には、魂の抜けた、ごるご君が寝ている。
「狭くてごめんね。」
冷蔵庫から、サントリー烏龍茶のペットボトル500mlを出して、太郎さんに渡した。

「1時間だけ、横になっていい?ちょっと疲れた。」
「どうぞ、気にしないで休んでください。」

ごるご君は、自分が寝ている布団に横になった。
シングルの布団に二人並ぶと狭い。
二人と言うべきかどうかわからない。




何時間経っただろう。
ごるご君は、目覚めた。
太郎さんは消えていた。


「さて。」
起き上がると、隣に自分は、いない。
「あれ?」
ごるご君は自分の手をつねってみた。
痛い!
「あれは夢だったのだろうか?」


時計を見ると、午前4時だ。
東急ストアのアルバイトは今日は夕方からなので、まだ寝る時間はある。
再び、ごるご君は横になった。

次は、お腹が減って、目覚めた。
テレビをつけると、成田空港でセキュリティーゲートが忽然と消えたと報道されている。
足跡も他の痕跡も残っていないとのことだ。
唯一の手がかりは、大きな鎌が入口に残されていたことだと言っている。

「やっぱり、あれは現実だったのか。」
「まあ、いいや。ごはん食べよう。」
そう言いながら、テーブルの上を見ると、サントリー烏龍茶500mlのペットボトルが、テーブルの上にある。


流しの前に立った、ごるご君。
ふと、背後に異様な気配を感じた。
「俺の背後に立つな!」
振り返った、ごるご君の目の前に太郎の顔がある。

「太郎さん、なんでここにいるの?」
ごるご君が聞いた。
「実は、あの世に帰ろうと思ったのですが、浮き上がることができなくて。いつもは誰かと一緒なのでひっぱられるようにして浮かぶのですが。」
「それじゃ、だれかに迎えにきてもらえばいいじゃん。」
「たぶん100年以内には来てくれると思います。」
ごるご君は、どっと疲れた。

「それじゃ、これから太郎さんは、どうやって過ごすの?」
「はい、しばらく、ごるご君の背後霊になって、ごるご君を見守ります。」

「俺の背後に立つな!」

するどい回し蹴りは、むなしく空を切る。








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