石川啄木 日記 明治41年5月5日
明治41年5月5日の石川啄木の日記だ。
3度目の上京で北海道から船で横浜を経由して東京に着いたのが、4月28日だ。東京に着いてから8日目の日記となる。
まずは、原文だ。原文は、石川啄木 啄木日記さんから借りてきた。平易にまとめていただいて、とてもありがたい。本当にありがとうございます。
五月五日
節 句。
起きて二階に移る。机も椅子も金田一君の情、桐の箪笥は宿のもの。六畳間で、窓をひらけば、手も届く許りの所に、青竹の数株と公孫樹の若樹。浅い緑の色の心地よさ。
晴れた日で、見あぐる初夏の空の暢やかに、云ふに云はれぬ嬉しさを覚えた。殆んど一日金田一君と話す。
本田君、奥村君、向井君、小嶋君、宮崎君、せつ子へ葉書。岩崎君へ“緑の都の第一信”を書いた。
京に入つて初めて一人寝た。“自分の室”に寝た。安々と夢路に入る。
今回は、あまり長くない。さっそく読んでみよう。現代語風に解釈してみるが間違いも多いと思う。間違いなど指摘していただければ訂正させていただきます。
明治41年5月5日
節 句。
起きて二階の部屋に移動する。机も椅子も金田一さんに準備してもらった。桐のタンスは、この宿のものだ。六畳間で、窓を開くと、手が届きそうな所に、青竹が数株と公孫樹の若樹がある。浅い緑の色が心地いい。
晴れた日で、見渡すかぎり初夏の空がのびのびと広がる、言葉にできないほど嬉しくなった。ほとんど一日金田一さんと話した。
本田さん、奥村さん、向井さん、小嶋さん、宮崎さん、せつ子へ葉書を書いた。岩崎さんへ“緑の都の第一信”を書いた。
今回、上京してから初めて一人で寝た。“自分の部屋”に寝た。すぐに寝てしまった。
5月5日の日記は短い。
赤心館に移ってきて、昨夜は部屋の準備ができていないとのことで、金田一京助の部屋に泊めてもらい、本日初めて自分の部屋で寝た、石川啄木だ。この頃の文学者は、みんな暮しは豊かでなかったようだ。明星を発行する新詩社の与謝野夫妻でさえ暮らしぶりは裕福ではない。啄木もいつまでも厄介になるわけにもいかなかったのだろう。啄木が自分の部屋を持ったのは釧路以来ということになろうか。この頃の「君」の使い方は、どんなものだったのだろうか。現在では、「○○君」と言えば、自分より年下の人を呼ぶ時に用いられることが多いが、明治の時代は違っていたかもしれない。国会中継を見ていると議長は議員を「○○君」と呼ぶ。「君」は、「きみ」とも読む。「きみ」は尊い人にも用いられる。
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3度目の上京で北海道から船で横浜を経由して東京に着いたのが、4月28日だ。東京に着いてから8日目の日記となる。
まずは、原文だ。原文は、石川啄木 啄木日記さんから借りてきた。平易にまとめていただいて、とてもありがたい。本当にありがとうございます。
五月五日
節 句。
起きて二階に移る。机も椅子も金田一君の情、桐の箪笥は宿のもの。六畳間で、窓をひらけば、手も届く許りの所に、青竹の数株と公孫樹の若樹。浅い緑の色の心地よさ。
晴れた日で、見あぐる初夏の空の暢やかに、云ふに云はれぬ嬉しさを覚えた。殆んど一日金田一君と話す。
本田君、奥村君、向井君、小嶋君、宮崎君、せつ子へ葉書。岩崎君へ“緑の都の第一信”を書いた。
京に入つて初めて一人寝た。“自分の室”に寝た。安々と夢路に入る。
今回は、あまり長くない。さっそく読んでみよう。現代語風に解釈してみるが間違いも多いと思う。間違いなど指摘していただければ訂正させていただきます。
明治41年5月5日
節 句。
起きて二階の部屋に移動する。机も椅子も金田一さんに準備してもらった。桐のタンスは、この宿のものだ。六畳間で、窓を開くと、手が届きそうな所に、青竹が数株と公孫樹の若樹がある。浅い緑の色が心地いい。
晴れた日で、見渡すかぎり初夏の空がのびのびと広がる、言葉にできないほど嬉しくなった。ほとんど一日金田一さんと話した。
本田さん、奥村さん、向井さん、小嶋さん、宮崎さん、せつ子へ葉書を書いた。岩崎さんへ“緑の都の第一信”を書いた。
今回、上京してから初めて一人で寝た。“自分の部屋”に寝た。すぐに寝てしまった。
5月5日の日記は短い。
赤心館に移ってきて、昨夜は部屋の準備ができていないとのことで、金田一京助の部屋に泊めてもらい、本日初めて自分の部屋で寝た、石川啄木だ。この頃の文学者は、みんな暮しは豊かでなかったようだ。明星を発行する新詩社の与謝野夫妻でさえ暮らしぶりは裕福ではない。啄木もいつまでも厄介になるわけにもいかなかったのだろう。啄木が自分の部屋を持ったのは釧路以来ということになろうか。この頃の「君」の使い方は、どんなものだったのだろうか。現在では、「○○君」と言えば、自分より年下の人を呼ぶ時に用いられることが多いが、明治の時代は違っていたかもしれない。国会中継を見ていると議長は議員を「○○君」と呼ぶ。「君」は、「きみ」とも読む。「きみ」は尊い人にも用いられる。
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