猫の恩返し - にゃん吉一代記
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猫の恩返し



えみさんは、ねこが、好きでした。
いつも、ねこの「どんベエ」と一緒でした。
「ずっと、どんベエと一緒に居たい。」えみさんは、みんなに言っていました。
それから2年がたちました。
えみさんは、集団就職で都会に出て一人暮らしをしなければならなくなりました。
どんベエと離ればなれになるのが寂しくて、たまりませんでした。
そして、いよいよ出発の日がきました。
家族も、どんベエも駅でえみさんを見送りました。
えみさんは、汽車の窓から顔を出して、どんベエに手をふり続けました。
汽車がスピードをあげていき、どんベエも家族も駅も見えなくなりました。
それからも、えみさんは駅のほうを見ていましたが、疲れて席に座りました。 
うとうとしていたのでしょう。
夢見心地のえみさんを乗せた汽車は、都会の駅のホームにすべりこみました。

駅からは、会社の人が寮まで案内してくれました。
寮に入る人が、だんだん少なくなってくるそうでした。
寮の建物は新しくはありませんが、きれいに掃除されていました。
二人部屋ですが、今のところ同室の人は決まっていないとのことで、しばらく一人で
暮らすことになりました。これまで、一人暮らしをしたことのなかったえみさんは広めの部屋で一人になると寂しさがこみ上げてきました。でも疲れていたのでしょう。布団に入ると、すぐに眠ってしまいました。

朝になりました。
今日は、出社の準備をして明日から出社です。
朝食を終えたえみさんは、寮の近くを歩いてみました。
どんベエに似たねこを見かけたときは、思わず声をかけたのですが、ねこは知らぬ顔をして逃げてしまいました。
どんベエのあたたかさも、顔も匂いも懐かしい。まだ離れて一日も経っていないのに、えみさんは、とてもせつなくなりました。

寮に帰ったえみさんは、明日の準備をしようと、スーツケースを開けました。
スーツケースから、懐かしい匂いが漂ってきます。
お母さんが無理して買ってくれた服のあたりです。
よく見ると、服にシミが。

「あの、バカねこ。」

マーキングされた洋服の前で、えみさんがつぶやきました。





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